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何時までもトイレに籠っている訳にはいかないと思い席に戻ると、正ちゃんは僕を見て気まずそうな顔をする。
それを見て凄く胸が痛くなったが、何も気づいてない素振りで、行こ?と正ちゃんを連れ出した。
「 おおー、悪いな。」
琥太ちゃんの家に着くと、正ちゃんは玄関先で封筒を渡し「じゃ。」と踵を返す。
「 巫女都、混じってく?」
「混じんねぇよ!!死ねっ!!」
...混じる?上がるの間違えじゃないの?
憤怒してる正ちゃんをキョトンと見つめると、僕の手を取り歩きだした。歩いてる途中、正ちゃんが思い出したように言う。
「 けど、マジで巫女に似てたな?さな。」
...呼び捨てなんだ。
正ちゃんは大体、初対面の人をあいつとか、おまえとかで呼ぶ事が殆んどで、小さな事だけどそれが凄く気になる。
でも指摘しないで、そうだねと曖昧に笑うと、僕は疑問を口にした。
「 ...ねぇ、なんで金曜に会おうなんて言ったの?」
「 あ?...ああ、何でだろうな。やっぱ巫女と喋ってる感覚だったのかもな。」
正ちゃんの言葉に、胸の痛みが増す。
一見、女の子にしか見えない僕でもやはり男で、そんな僕にそっくりな女の子に正ちゃんが興味を引かれてる。
すげ替えられるのではと思ったのかもしれない。
正ちゃんは元々女の子と付き合ってたし、僕と居るのと変わらない感覚なら、女の子のさなちゃんの方が良くなってしまうのではと考える。
マイナス思考に陥った僕は、さなちゃんの事をグルグルと考えて落ち込んでいった。
佐倉家の前に着き、正ちゃんの手を離す。
「 ...上がってかねぇの?」
「 ...うん。今日は帰る。」
そう言った巫女の顔がいつもと違う。心当たりがあった俺は、試しに巫女にキスをしようとするとスッと顔を背けられた。
...やっぱ見てたか。
さっき、カフェでさなにキスをされたのを巫女は見たんだと確信した。
「...見てたんだろ?んで、なんも言わねぇの?」
巫女の性格は良く分かってる。無駄に喧嘩するくらいなら、飲み込もうと思ったんだろう。
けど、こんな風に避けられるくらいなら、罵られた方がましだ。
「...なんて言えばいいの?」
「 なんてって...。嫌なら嫌っつやぁいいだろ?」
つい強めの口調で言った俺の言葉に、巫女は下唇を噛む。唇を噛むなと手を出すと、その手を振り払われた。
「 唇にグロス付いてるよっ!!じゃあねっ!!」
「 おいっ!? 巫女っ!!」
駆け出した巫女の後ろ姿を見て、俺はため息を吐いた。
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