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「 ねぇ~、正ちゃん見に行こうよぉ~!お願い~っ!」
「 ダアッ!! 行かねぇよ、面倒臭ぇっ!!」
巫女は眼をキラキラさせながら俺におぶさり懇願してる。
お節介なんだか好奇心なんだかしんねぇけど、わざわざ別棟に小野寺を見に行くなんて七面倒臭い事はしたくない。
「 正ちゃん、お願いってばぁ~! ね?ねっ?」
...ったく、しつけぇな。...いや待てよ、ひょっとしたらこれはチャンスかもしんねぇ。
俺は閃き、交換条件を突き付けた。
「 巫女が禁欲期間短縮してくれんなら、行ってやる。」
「...なにそれダメに決まってるじゃん。ねぇ、行こうよ~!」
「 じゃ、嫌だね。」
条件は飲まねぇくせに駄々を捏ねる巫女にツンとした態度をとると、ぷうっと膨れた巫女が「 じゃあいいもん!」と歩き出す。
「...どこ行くんだよ?」
「 小野寺くん見に行くの。別に正ちゃん居なくても一人で別棟くらい行けるもんねぇーだっ!」
「 んなのダメに決まってんだろ! あっ、こら巫女っ!!」
俺の言葉を無視して歩いていく巫女を慌てて追う。以前、小野寺が流した噂の事もあり、巫女は一年の教室がある別棟には一人で行かないようにしている。
俺もそうするよう言っていたし、きっと一人で行くと言えば俺が着いてくると見越しての行動だろうと思う。
......頑固な上に計算高ぇな巫女は。...たく、しゃあねぇ。
そう思い、渋々隣に並んで歩くと、俺を笑顔で俺を見上げた巫女が、
「 正ちゃん優しいから大好きっ!」
「...言葉要らねぇから態度で示してくんね?例えば禁欲きか......、」
「 それはダーメっ!」
...ちっ!被せてきやがった。あーあ、10日長げぇ~なぁ...。
別棟に着くと巫女を見て一年どもが騒ぎだす。
俺は敵意剥き出しの顔で歩いているが、警戒心のまるで無い巫女は、小野寺をキョロキョロと探してる。
...んとに、もっと周り気にして頂戴よぉ~。
...それにあいつもよぉ。
俺は巫女を掴んで立ち止まると振り返った。
「...おい、智。なんだそりゃ尾行か?一緒に行きゃいいだろうが。」
「...どきどきしちゃって。ちっと遠くから様子を見てたい...。」
「...........きもっ。」
...完全に病んでるな。
病的にキモく変わり果てた智を巫女は「くぅ~っ!」などと言って萌えてるが、俺にはただの痛い奴に見える。
小野寺の教室が近づくと、智は俺たちの肩をがっしり掴んだ。
「 俺はここから先へは一歩も進めん!それどころか、身を隠す所存だ!小野寺との会話を、一言一句余す事無く憶えて来てくれたまえ!! 健闘を祈るっ!!」
「........誰だてめぇは。」
病んでるどころか、完全にイカれた智は言うだけ言うと、宣言通り身を隠した。
「 よーし!頑張るぞっ!」
「.......なにをだよ。」
鼻息荒くやる気を見せた巫女に聞くと、小首を傾げて考え出した。
「...うーん?分かんない!」
「...あっそ。」
少なくとも今は、3人の中でまともなのは俺だけだと思った。
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