アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
69
-
文化祭の準備が始まり、通例通り投票が行われて僕と正ちゃんは、全学年合同の演劇にでる事になった。
顔合わせで集まった放課後、生徒会長の田中くんから演目が発表されてる。
「前会長の荻島先輩が桐谷くんが卒業するまえに白雪姫をやって欲しいとのたっての希望が有りましたので、今年こそ白雪姫をやりたいと思います。」
演目が白雪姫と聞いて僕はチラッと正ちゃんを見る。
...大丈夫かなぁ~。
去年、一悶着あった演目なだけに気分は憂鬱だ。
生徒会役員から配布された、配役の記入されたプリントを見てため息を吐いた。
...正ちゃんやっぱり魔女だ。
獣ではないが、魔女の役をすんなり飲むのか...、謎だ。
王子様役には1年生の赤城陽向【アカギヒナタ】くんの名前が書かれており、僕は1年生の座っている席を眺めた。
...どの人だろう?
僕がそんな事を思っていると隣に座っている正ちゃんが、不遜な態度で言った。
「配役は兎も角、キスシーンの唇カバー去年と同じじゃねぇだろうな?」
「 同じですけどなにか?」
「 なにか?じゃねぇだろ!!あんな薄っいサランラップ越しに巫女とキスなんかさせられっか!!ど阿呆っ!!」
.....僕もアレは嫌だなぁ~。
去年唇カバーとして渡されたサランラップを見て、正ちゃんと声を揃えて驚いた。
「 あの、俺もちょっと良いですか?」
「 なにかな、赤城くん?」
......この人が赤城くんかぁ。
手を上げて立ち上がった爽やかな好青年といった雰囲気の赤城くんを不躾ながらジロジロ見てしまうと正ちゃんも凄い怖い顔で見てる。
「 白雪姫役を変更してもらう事って可能ですか?」
「 おっ!おまえ話の分かる良い奴だな!」
変わり身、早っ!
先程までの顔とは打って変わってにこやかに言う正ちゃん。
...去年の事聞いてそんな事言い出したのかなぁ~。
「 白雪姫の変更は認められないが、理由だけは伺おうと思います。」
...理由聞いたところで変更しないなら意味無いじゃん。
赤城くんは僕をチラッと一瞥して、
「 桐谷先輩より獅童先輩の方が適役かと。獅童先輩の方がお顔が可愛いので。」
僕の斜め前で急に名前が上がった獅童くんが凄くビックリしてる。
「...ちょっと待てこら。眼ん玉ひんむいてよく見やがれおらっ!!」
「 わっ!? 正ちゃん!?」
僕の顔を持ってグイッと赤城くんの方へ向けた正ちゃんは不機嫌丸出しだ。
「 どー見ても巫女のが可愛いだろーがっ!!眼ぇ腐ってんじゃねぇのか?」
「 良く良く見てもやっぱり獅童先輩の方が可愛いと思います。」
はっきりと言い放たれた赤城くんの言葉に正ちゃんがワナワナ震えてる。慌てた僕は、正ちゃんを宥めようと必至だ。
「しょ、正ちゃんもう良いよっ、白雪姫役変えて貰えば済む話だし!ねっ?」
「 白雪姫役の変更は断じてあり得ません。」
「..............けち。」
僕の言葉に透かさず被せてきた田中くんにジト眼を向けそう言うと、正ちゃんがボソボソと何か呟いた。
「.........なに?」
「......認めねぇ。白雪姫も巫女だし、巫女のが絶対可愛いに決まってる...。」
正ちゃんの目が据わってて、僕はギョッとした。
「 正ちゃん、一旦落ち着こ?好みの問題だし!正ちゃーん?おーい?」
僕の方に見向きもせず、返答もしなかった正ちゃんがいきなりバンッ!と長テーブルを叩いて立ち上がった。
「 どっちが可愛いか白黒はっきりさせようじゃねぇか。...おい田中、生徒会の権限でミスコン開けや。」
「しょ、正ちゃん!?男子校だからミスは居ないよ...?」
「 ああ?じゃ、女装コンテストっつやぁ良いわけ?兎に角、全校生徒の投票でどっちが白雪姫か決めて貰おうぜ?」
完全に剥きになった正ちゃんがとんでもない提案をし、生徒会役員の面々が話し合っている。
「 今までの人気投票とは、また違った形で面白いと思います。実現できるよう、働きかけてみます!」
「 必ずやれ!...おい赤城、目に物見せてやっから首洗って待ってろよ!!」
「 望むところです」
こうして、当事者の僕と獅童くんを置いてけぼりのまま、戦いの火蓋が切られた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
69 / 301