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「...つか、マジでこれ嫌なんだけど...。」
「 えっ!? やだぁ~!あはははははははっ」
正ちゃんの格好を見て僕は堪えきれずに盛大に笑った。
あの正ちゃんが女装をしてる。しかも老婆では無く、お妃様の格好だ。186㎝もある正ちゃんの女装はそれだけでインパクトがあるのに、深くサイドスリットの入ったロングドレスからは、ガーターベルトを付けた脚がガッツリ見えてる。
「...セクシーとは程遠いですね。」
「俺にんなモン求めるなっ!!ったく、巫女も笑いすぎだっつーの...。頼むから去年みてぇにお妃と魔女で分けてくんね?」
困り顔で田中くんに懇願する正ちゃん。怒られたけど、僕は笑うのを止められない。
どうしよぉ、お腹痛ぁい〜!
去年は正ちゃんと同じくらいの背丈の先輩がいて、その人がお妃をやった。結局は正ちゃんのせいで演目が変わってしまったから意味がなくなってしまったけど。
「 残念ながら丁度いい背格好の者が居ないんですよ...。リアリティーに欠けてしまうので、今回は2役やって貰いたい。」
「...んなキモいもん見せるくれぇなら、リアリティー追究しなくても良いと思うけど...。」
正ちゃんの言い分は通らず、稽古は始まった。
「 転ぶときにいちいちスカートを押さえないで下さい。命を狙われて下着を気にする人はいません。」
「...だってぇ~。田中くんの言う通りに転んだら、パンツ丸見えなんですけどっ!!」
もうこのダメ出しは何度目か分からない。
盛大に転べと言われても、下着が気になってついついスカートの裾を押さえてしまう。
「 桐谷くん。下着も服と同じです。臓器が見えてる訳では無いのですから、気にせずにやって下さい。あなたが思ってる程、皆さん見ていませんから。」
「...う"っ、...分かりました。」
前生徒会長にもキスシーンを拒否したら、似たような事を言われた。
...自意識過剰なのかなぁ。そうだよね。パンツだって服だよね。
そう思った僕は田中くんの指示通りに芝居をした。
「お願いっ、殺さないでっ、」
そうは言ったもののパンツが丸見えになってる事は思いの外恥ずかしく、顔が赤くなってしまう。
...いかんでしょ~、あの顔は。
パンツが見えてる上、羞恥で顔を真っ赤にして後ずさる巫女に周りの野郎共が生唾を飲み込んでいる。
狩人役の奴の鼻息が荒く、どう見ても巫女のパンツをガン見してるし、ハァハァ言いながらその手がプルプル巫女の脚に伸びていく。
「 注意事項第8項っ!!」
透かさず田中が叫ぶと、ハッとした顔で手を引っ込める狩人。
...効果抜群なのは分かったけど、んなまどろっこしい事するなら巫女にあのパンツ履かせなきゃ良いのによぉ。
俺は心の中でそう思った。
シーンは変わり、狩人がお妃である俺に小汚い袋を渡してくる。
「...えーと、ちゃんと始末したんでしょうね?」
俺のセリフに、田中が「えーとは要らない!」とダメ出しするし、巫女は俺のオネエ口調に吹き出してる。
...くっそ最悪だ!
うんざりしながら小汚い袋に手を入れる。
「 う"ぇっ!? なんだよこれっ!?」
見るからにグロテスクなブヨブヨした真っ赤なそれを手に、俺は顔を顰めた。
「臓物です。肉屋で購入したホルモンに、食紅で色を付けました。リアルでしょ?」
「リアル過ぎて引くわっ!!」
平然といい放つ田中だが、その場に居る全ての役者が俺の持つ臓物を見て引いている。そんな事お構い無しに「続けて下さい。」と言う田中に従い、俺は臓物片手に高笑いした。
「 素晴らしい演技です!まるで佐倉くんがそれを引き摺り出したかのようです!!」
「...あっそ。そりゃどうも。」
田中の賛辞の言葉が微塵も嬉しく無かった。
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