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「 正ちゃん、朝だよ。」
うっすらと眼を開けた俺は、髪を撫でながら言う巫女の声に心地よさを覚え、グッと引き寄せると再び眼を閉じる。
「 こら正ちゃん、起きて?」
どうせ神社に行くのだろうと思い、優しく窘める巫女の言葉を無視して離さない。
一緒に寝ても朝起きると巫女はいつも居なくて、俺の隣を抜け出て神社に掃除に行く。
決まった時間が有る訳じゃないんだから、もう少し巫女の腕の中に居たい。
「 正ちゃん、そろそろ起きないといつもの電車に乗れなくなっちゃうよ?」
その言葉に、ん?と思って聞く。
「...巫女、神社は?」
「 サボっちゃったよ。正ちゃん全然離れないんだもん。腕も痺れちゃってるんですけど?」
その言葉にハッとして、悪りぃと頭を浮かせる。
巫女の細腕で一晩中腕まくらしてたんじゃかなりキツかったんじゃねぇかなと思う。
でも思いの外寝心地の良かったそれが、名残惜しかった。
「 あんがとさん。また今度してくんね?」
「 正ちゃんは甘えん坊だなぁ~!良いよ。また正ちゃんが弱った時にね!」
俺が弱るのなんて、巫女に関する事が殆んどで、抱き締めて寝て欲しいけど、昨日みたいな事があんのはごめんだ。
...やって欲しいけど、やって貰わねぇようにしなきゃいけないわけね。
そう思って苦笑した。
巫女ん家で朝飯を食って、支度を済ませた巫女を連れて家に着替えに戻ると、俺を待ってる間巫女とお袋は相変わらず女子会状態で話してる声が漏れ聞こえてくる。
「 正太郎、寂しくて1人で寝れなかったんだって?言ってくれれば私とお父さんの間に入れてあげたのにぃ~!」
「 アホかっ!全っ然、入りたくねぇわ!!」
ニコニコとからかってくるババァに一喝して、巫女の手を引き家を出た。
「 ババァにいちいち報告せんでよろしい!!」
「 恥ずかしいの?ふふ、よっちゃんに言ったの僕じゃないよ。マーマ!」
...おばちゃんか。じゃあしゃーねぇーか。
おばちゃんにはどう足掻いても勝てない。一言言やぁ、十にも二十にもなって返ってくる。
「 あ、でも僕が腕まくらしてあげた事は言っちゃった!よっちゃんが、言えばおじさんの腕まくら、1日くらいだったら譲っても良いって言ってたよ?良かったね!」
「 良かねぇよっ!つか要らねぇよ!!」
「 痛ぁっ!! なんで叩くのぉ~、」
手刀を喰らわせた事に文句を言う巫女に、ボケた事言ってっからだと教えてやる。
この年になってあんな厳つい親父の腕まくらで寝るなんてごめん被りたい。
...硬てぇし高くて寝にくそ。
思わず想像して吐き気を覚える。例えババァが良くても親父が却下するだろう。況してや隣で妹作りに励まれた日にぁ、吐くどころの騒ぎでは無い。
「 ...俺に腕まくらすんのは巫女だけで良いや。」
「 ふふ、奇遇だね!僕も正ちゃんの腕まくらだけで良い。今日は正ちゃんの番ね?」
そう言って巫女はにっこり笑う。今日も一緒に寝てくれんのね。結局のところ、俺も巫女も甘えたで、やっぱニコイチだと思った。
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