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ゆき【ほのぼの】
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狭山さんの部屋で、テレビを見ていた。
ソファーに座る狭山さんの足の間に挟まって、僕は床に座り、のんびりと時が過ぎる。
「あ、ゆき……?」
ふと窓から外に視線を向けると、ふわっと、白い粒がひとつ舞っていた。
「あ、えっ?」
ソファーの上から、なにか驚いたような声。
「雪、降ってきたみたいですよ」
足の間に頭を乗せて、のけ反るように狭山さんを見上げる。
「あ……あぁ、雪、……か」
少し残念そうな声色で、呟く。
狭山さんの視線も外に向く。
「雪、降ったら困るんですか?」
「いえ、なんでもないですよ」
狭山さんは、また、僕に視線を戻して、にこっと微笑む。
この笑顔……絶対、何かを隠してる。
僕は思わず、眉を寄せた。
僕の問い詰めるような視線に、狭山さんが諦めたように、口を開く。
「……名前を呼ばれたかと思ったんです」
僕から視線を外して、口元を押さえ、天を仰ぐ。狭山さんの表情は見えなくなる。
名前? ……あ、幸也。
「ゆき……」
僕は名前を呼ぶように、その言葉を口にした。
口元の手は離さずに、僕に顔を向ける。
その顔は少し赤く、照れていることが容易にわかる。
「はははっ……」
僕は思わず声を立てて笑ってしまった。
狭山さんは、恥ずかしがるように僕から顔を背けた。そして、大きな手で僕に目隠しする。
「見ないで下さい」
「じゃぁ、もう、呼びませんっ」
目隠しされたことが面白くなくて、思わず語気を強めた。
目隠しされたまま……ふわっと僕の唇に、狭山さんの口づけが降ってきた。
「ダメです……『ゆき』って呼んでください」
目隠しを外されて目に飛び込んできた狭山さんは照れたように、でも、嬉しそうに、にこやかに微笑んだ……。
ゆき……僕は、そんな、ゆきが大好きだよ。
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