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ゆきの風邪【ほのぼの】2
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瑞月がお盆を持って寝室に入ってきた。
「出来たよ」
にっこりとほほ笑んで、ベットの端に腰かける。
一口分を蓮華で掬い、ふーふーと息を吹きかける。
その仕草が可愛くて、思わず、見とれていた。
瑞月は、はたと動きを止める。
「食べれるよね? 自分で」
自分のしようとしていたことが急に恥ずかしくなったようだった。
瑞月は、ははっと少し顔を赤らめて笑い、俺にお盆を押し付ける。
残念……。
瑞月が冷ましてくれたおかゆを口に含む。
……味が……しない?
思わず、不思議な顔をしてしまった。
瑞月は俺のその顔を見て、はっとした表情を見せる。
「ごめんなさいっ! 味、ないよね? 味付け忘れた!!」
慌てて俺からお盆を奪おうとする瑞月。
俺はお盆をひょいっと持ち上げた。
瑞月は、そのまま俺の胸元にダイブする。
俺は思わず、ははっと笑い声を漏らした。
「大丈夫、みぃの味がする。……みぃの愛情の味がします」
そう言って、俺の胸に埋まるみぃの髪に口づけた。
「ごめんね、ゆき。僕はいっつも失敗ばかり……」
瑞月は、唸りながら、声を発する。
うまくいかないことが、俺を不安にさせていると、心配しているかのように。
「大丈夫。俺はそんなところも全部含めて、みぃが愛おしいんだよ。だから、笑って」
瑞月は、少し眉間に皺を寄せ、困ったような顔で俺を見上げる。そして、微笑む。
俺には、君の笑顔が一番の薬。元気になるための、常備薬、だよ。
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