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以心伝心 ゆきの場合【ほのぼの】1
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代休……。
仕事が続いて、休んでなかった。少し落ち着いたところで、上から休めと命令が下る。
休みをもらったところで、瑞月は仕事。会えはしない。
でも、会いたい。
俺は足が向くまま、瑞月の家へ向かっていた。
帰ってなかったら、家の前で待てばいい。寝てしまっていたら……帰るしかない。
瑞月の家の側で瑞月にコールする。
『はいっ!』
電話の向こう、元気な瑞月の声が届く。思わず、ふふっと笑いが漏れた。
「こんな時間にごめんね」
『ううん。大丈夫』
「なんか……声が聴きたくなって。もう、寝てました?」
声の調子から起きていたことは察知できていた。
『ううん。いま、帰ってきた……とこ』
瑞月の声が詰まった。電話に出た瞬間の元気が、ない。
「みぃ……?」
『なん……でも、ないよ』
何かあったの?
「どうしたんですか?」
『…………』
「どうしたの? 言ってごらん。……思ってること、言って……?」
黙っていたら、わからないよ。
優しく、優しく、声をかける。
『……会い、たい』
ぐすっと鼻を啜る音が聞こえた。俺は思わず、笑ってしまった。
同じこと、思ってた。
インターフォンを鳴らすと、すぐに扉が開いた。
「来ちゃいました……、俺も会いたくて」
ははっと笑った俺に、瑞月は泣き顔のまま抱きついてきた。
淋しい想いをさせて、ごめん。
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