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以心伝心 ゆきの場合【ほのぼの】2
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瑞月を部屋着に着替えさせた後、ベッドの上に座る。
俺の足の間、背中をぴたりとくっつけて座る瑞月は、まだぐずぐずと鼻を啜る。
俺は後ろから瑞月を抱きしめて、気持ちが落ち着くのを待っていた。
「帰ってきてなかったら……どうするつもり、だったの?」
少し、落ち着きを取り戻した瑞月が口を開いた。
「家の前で待ってようと思ってました……。寝てたら帰ろうと思ってたんですけどね」
ははっと笑うと、瑞月もふふっと笑った。
「明日、代休……取らされたんです。最近、休みなかったので……だから、来ちゃいました」
振り返る瑞月に微笑みかける。瑞月も嬉しそうに笑んでくれた。
でも、その顔は少し、乾ききらない涙に濡れていた。
チュッと額にキスを落とす。
瑞月は、俺から身体を離して、反転する。
瑞月の瞳が艶っぽい色を灯す。
ダメ、だよ。
近づいてきた瑞月の唇に人差し指を立てた。
「みぃは、明日も仕事でしょ?」
子供を諭すように言うと、瑞月は捨てられた子犬のような目で僕を見上げる。
ここで瑞月に無理をさせることはできない。疲れている瑞月に無理はさせたくない。
「そんな顔しても、ダメです」
瑞月をいったんベッドから下ろして、布団の中へ潜り込む。
布団の端を上げて、瞳で『おいで』と囁いた。
嬉しそうに俺の腕の中に潜り込む。瑞月をぎゅっと抱きしめる。
「瑞月……一緒に、暮らそうか」
少しだけ、沈黙……それは、一瞬の空白。
言葉を考えている。俺の言った言葉を、理解するまでの空白。
「……うん」
瑞月はまた、ぐしゅっと鼻を啜った。
泣きながら笑っていた。
少しでも、一緒に居よう。君が淋しくならないように。
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