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隠し事『立花さんへのお礼編5』 【真面目?】
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「みぃ? なんか隠してません?」
瑞月は真っ赤な顔のまま、黙々とトーストを頬張る。
「みぃ?」
呼びかけに、ちらっと俺を確認し、すぐに視線を外す。
写真でからかわれただけじゃないな……。
瑞月の耳横の髪を掻き上げ、口を近づけて囁く。
「どこに……チュッて、されたの?」
「んっ……」
俺の囁きに、瑞月の身体はぴくんっと反応を見せる。
「な、何も、されてないよ……ごはん、食べちゃおうよ……」
何もないと主張する瑞月。話すつもりは無さそうだった。
「ねぇ、どこに……チュッて、されたの?」
もう一度、瑞月の耳に囁く。
俺の声から逃げるように、瑞月の肩がくっと上がる。
瑞月は困り顔で俺を横目に見るだけで、口を開かない。
俺は諦めて、瑞月から身体を離した。
視線も外し、トーストに手を伸ばし、食べ始める。
「ごめん…さない」
少しの沈黙の後、俺が怒っていると思ったのか、しゅんと肩を落として、瑞月が俺に謝罪する。
その意図しない言葉に俺は少し苛立ちを覚える。
「瑞月は俺に謝らなきゃいけないことしたんですか?」
少し、怒気を孕んだ声になる。
ちゃんと話をしない、隠し事をしているような瑞月の態度に少しイラッとした。
「違う、……違う、よ……」
瑞月の目に涙が溜まり始めた。下唇を噛みこみ、涙を堪える。
泣かせたい訳じゃないのに。苛めたい、訳じゃないのに。
瑞月の涙に罪悪感が込み上げる。
「ごめん、みぃ……」
泣きそうな瑞月の頭を胸に抱き込み、髪に口づける。
瑞月は悪くない。俺が勝手にイラついただけ。立花に嫉妬しただけ。
瑞月は、ぐっと俺の胸を押し、腕から逃げた。
「だって、言ったら……本当のこと言ったら、怒るでしょ? 別に、僕はやましいことはしてないっ」
涙目で俺を睨みあげる。
ケンカしたい訳じゃなかったんだけど……。
立花が絡むとろくなことに……ならない。
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