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珍しい幸也『立花さんへのお礼編8』 【ほのぼの】
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日曜日、昼12時から10分ほど経過していた。
お昼ご飯にしたけど、一体何をご馳走すればいいのか悩んでしまった。
結局、ピザとサイドメニューをいくつか注文し、ビールと梅酒、ウーロン茶を冷やしておいた。
幸也はずっとイライラしていた。
僕にいつものように笑顔を見せるけど、幾度となく、ふぅっと、荒く息を吐く。
お礼する為に立花さんを呼んだはずなのに、幸也は感謝ではなく、憤怒の念が否めない。
やっぱり呼んだのは間違いだったのかも……。
ピンポーン。
来客を告げる音に、僕が玄関へ足を向ける。
「みぃ。俺が行く……」
幸也が僕の行く手を阻んだ。
「えっ。いや、たぶん、僕が行った方が……いいと思う」
そっと、見上げた幸也の顔は笑顔なんだけど、こめかみに微かな青筋…。
明らかに怒っている幸也を行かせるのは、立花さんに対して、少し気が引ける。
「いや、俺が……」
押し問答をしているうちに玄関にたどり着き、結局2人で迎える羽目になる。
「よぉ……っ」
開けた瞬間に幸也が僕を押し退けて、立花さんの胸ぐらをつかみ上げた。
「えっ! ちょっ、まっ……」
一生懸命、2人の間に割って入り、幸也の胸を押さえる。
「また、なんかしたの?」
立花さんの少し後ろから、冷静な女の人の声が聞こえた。
目を向けると、すごく細くて、僕より少し背の高いセミロングで黒髪の女の人が立っていた。
「うちのみぃに手を出したっ!」
珍しく、幸也が声を荒げた。
女の人はぷっと噴き出したかと思うとあははっと声をたてて笑う。
全員の視線が女の人に向く。
「あ、ごめん……、狭山なんか……違うよね?」
ほらもっとこう、冷静沈着というか、感情の浮き沈みがないというか……とぶつぶつと呟く。
「あ、絢乃……久しぶり……だね」
絢乃さんと呼ばれるその人の存在に気づき、幸也が少し冷静になる。
立花さんを持ち上げていた手を少し緩めた。
幸也の手から逃げた立花さんが口を開く。
「手なんて出してねぇよ」
立花さんの言葉に、幸也はキッと睨み付ける。
「ね、ねぇ。とりあえず、家、中に入ろう? こんなとこで言い争いって……」
恥ずかしいよ……。
僕の声に促されるように、4人で家の中に入る。
やっぱり立花さんを呼んだのは、失敗だった気がしてならない……。
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