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絢乃さん……ごめんなさい『立花さんへのお礼編11』 【真面目】
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「絢乃……立花の奥さん」
……絢乃さんは立花さんの奥さんだった。立花さんの一番大切な、人。
幸也が僕を心配そうに見ている。
僕の中に言い知れない罪悪感が沸き起こる。
僕は一時でも絢乃さんの大事な人を奪おうとした……。
もし、幸也が今、他の人とも関係があるなんて知ったら、きっと、僕は嫉妬に狂ってしまう。
幸也を奪われたら、僕は、その人を許すことは、きっと、できない。
心がギシギシと軋む……。
ごめんなさい……、絢乃さん……ごめんなさい。
「瑞月くん?」
罪悪感に押しつぶされそうになり、俯く僕に、絢乃さんが声を掛けた。
僕は、申し訳なくて、絢乃さんのことを見ることができない。
急に、ふわっと僕は抱きしめられた。その腕は凄く柔らかく……幸也じゃなかった…絢乃さん、だった。
慌てて顔をあげた僕を放して、絢乃さんはふんわりと笑む。
「気にしてないよ」
僕は絢乃さんの言葉の意図が掴めずに、きょとんとしてしまった。
「立花のこと、好きだったんでしょ? シたことあるんでしょ?」
僕は、絢乃さんの言葉に、なんと答えていいのかわからずに、視線がきょろきょろと動く。
好きでした。大好きでした。
シたこともあります。
…………。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい……。
僕の目から涙が溢れ出した。絢乃さんへの罪悪感が涙になって零れ落ちる。
絢乃さんはもう一度、ゆっくりと僕を抱きしめた。そして、ゆっくりと頭を撫ぜる。
「泣かないで。怒ってないし、何ともないから」
「でも……、でも……」
ふふっと笑う絢乃さんの声が耳に届く。
「あたし、立花に興味ないんだよ……」
僕の背中をぽんぽんっと慰めるように叩きながら、言葉を繋ぐ。
「あたし、同性愛者だから、立花に恋愛感情は……ないんだよ……」
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