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永遠の愛『お正月編3(完結)』 【ほのぼの】
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ちょうど真ん中くらいで、何組かのカップルが立ち止まっていた。
きっと、そこに、赤い光がある。
僕は、先を急ぐ。でも、幸也はあまり乗り気じゃないようで、離れてゆっくりと歩いてくる。
「……知ってるんだよね? ジンクス」
立ち止まって振り返り、やっと追いつた幸也に問う。幸也は、困ったような笑顔を見せる。
「知ってますよ。赤い光が永遠の愛…でしょ?」
「ゆきは……見たくないの?」
僕たちの愛は永遠じゃないの?
淋しげな瞳を向けた。幸也はふぅっと息を吐き出した。
「見たくない訳じゃないですよ」
じゃ、なんで? 視線で問う。
「そんなもの見なくても、俺の愛は永遠です。そんなジンクスに頼らなくても、俺はみぃを愛してますよ?」
言葉だけじゃ不満ですか? と付け加える。
「知ってるよ。ゆきが僕のこと、愛して、大事にしてくれてるの…」
僕は、ゆっくりと視線を下げる。
幸也の気持ちを疑っている訳じゃない。
僕の気持ちを形で表したかっただけなんだ。
僕は、永遠に幸也のことを愛し続けるよ。そう、伝えたかっただけなんだ。
「でも、ゆきがいつも不安に思っているのも、知ってるから……」
言葉だけじゃ足りない。僕の気持ちをもっと、もっと伝えたかった。
こんな子供じみた、女々しい方法でしか僕は幸也への愛を示せなかった。
そう思うと、自分の幼稚さに自嘲の笑みが漏れた。瞳からは、意図しない涙が零れ落ちる。
幸也の手が僕の頬に触れた。親指でゆっくりと流れる涙が拭われた。
「ごめん。ありがとう。……俺のため、だったんだね」
ゆっくりと上げた瞳に映った幸也は、困ったように笑っていた。
「俺……、愛されてますね」
僕を胸元にぎゅっと抱き込んで、幸也は嬉しそうに、笑った。
「俺、幸せです。みぃと一緒に居れて、こんなに愛されて、幸せ……」
僕も、ゆきと一緒に居れて幸せなんだよ。
嫉妬しても、酷く扱われても、僕は、どんなことをされたって、ゆきが好き…ゆきだけを愛しているんだよ……。
僕だってジンクスに頼らなくても、永遠に愛するよ。今年はもっと、僕を信じてね。
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