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幸也の気遣い『バレンタイン編8』 【ほのぼの】
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「みぃ……、みぃ…」
ゆるゆると揺すられ、重い瞼を押し上げた。僕の視線まで腰を屈めたスーツ姿の幸也が、にこりと笑む。
「またこんなところで寝て……風邪、引きますよ?」
幸也が優しく僕の髪を撫で上げた。僕は身体を起こし、瞳を擦る。
!!
僕の眼が真ん丸になる。僕の顔に、幸也もきょとんとした瞳を向けた。
出来上がる前に……帰ってきちゃった。
僕は、片手で顔を覆って、項垂れる。
「どうしました?」
不安げに問う幸也の声。
「間に合わなかった」
僕の悲痛な声に、幸也は、ん? と小さく先を促す。
「……チョコ、作ってたんだ。バレンタインの、ちゃんと…ラッピングして、渡したかったのに……」
なんで寝ちゃったんだろう……。
ははっと笑う幸也の声に、僕は、ゆるりと瞳を上げた。視線の先の幸也は、嬉しそうに柔らかな笑みを浮かべていた。ゆっくりと顔を近づけ、ちゅっと僕の額にキスを落とす。
「俺、着替えてきます。出張の片づけがあるので、少しかかると思いますよ」
そう言うと、にこりと笑み、幸也は寝室へと姿を消した。
僕は、幸也の気遣いが嬉しくて、くすりと笑いを漏らす。最後の仕上げに取り掛かった。
ラッピングまで終わり、こっそりと寝室の扉を開けた。
幸也は、ベッドの上、足を軽く組んだ状態で座り、ラップトップのパソコンで作業をしていた。僕に気付き瞳を上げると、ふっと笑む。パソコンをぱたりと閉じ言葉を発する。
「ちょうど今、終わりました」
パソコンを避け、ゆるりと立ち上がった。傍まで来ると、優しく僕の頭を撫ぜる。
「ただいま、みぃ」
「おかえりなさい、ゆき」
僕たちは、キスを交わした。
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