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期待 8
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体もすっかりあったまり、そろそろ出るか、の時生さんの一言にお風呂を出て、再び部屋に戻ってきた俺たちを待ち受けていたのは、それは豪華な懐石料理だった。
席に座って、並べられた料理を見渡す。
トゲトゲの殻を器替わりにしてあるウニ、籠に盛られた新鮮なお刺身、細長い皿にローストビーフとか和え物とかが綺麗に盛り付けされたもの、陶器のコンロの上にある大きいアワビのステーキ、扇の形の皿には季節の野菜の天ぷら、黒の趣のある椀はつみれ汁かな、山菜の炊き込みご飯に、デザートはクレームブリュレかな。
「おいしそう…」
思わずそうつぶやいてしまった。
「ほら」
「え?あ、ありがとう…」
向かい側からグラスを渡されて受け取ると、そこにビールをついでくれる時生さん。
時生さんからこういった施しを受けたことのない俺は、いちいち動揺してしまう。
だけど自分でつごうとした時生さんが目に入り、慌ててビール瓶を受け取ってつぎ返した。
「いただきます」
お箸を手にとって、わさび醤油に少し浸した鯛のお刺身を口に運ぶ。
うわ、甘い。おいしい。
思わず顔が綻ぶ。
「うまいか?」
その言葉に顔を上げると、時生さんがビールを片手に俺を見ていた。
「うん、すっごいおいしい」
「そうか」
それだけを言うと、時生さんもお箸を持って食べ始めて行く。
俺といえば、お箸を持ちながら固まってしまった。
今日何回固まってるんだろ、俺…。
だって、ふって優しく笑ったんだよ、時生さんが。
今見たものが信じられなくて思わず凝視していると、早く食べろと言われて、慌てて料理に視線を戻す。
あぁもう。調子が狂う。
時生さんがもたらすものにいちいちドキドキしてしまう俺。
浴衣姿っていうのも反則だ。
だらしなく開いた前合わせから覗く肌にも翻弄される俺。
ホント、心臓もたないよ…。
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