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行き場のない気持ち 1
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あの夢のような日から、三週間。
大学の飲み会やバイト、週末に実家に帰っていたりと時生さんに会えるタイミングがなく、なかなか連絡できずにいて。
ようやく落ち着き、今日にでも電話をしてみようと考えながら、大学の食堂でお昼をとっていた。
「その間、向こうから連絡は?」
「ないけど…」
「ふぅん」
含みを持たせた頷きに、思わず笑ってしまう。
衛の考えていることが、手に取るようにわかってしまった。
ゴールデンウイークが明けて構内で顔を合わせた衛にあの日のことを話して、期待を持ったと言ったとき。
衛は、あんまり信じ過ぎない方がいいんじゃない?と言った。
突き放すような言い方をしてたけど、傷ついて欲しくないと、そう思ってくれてるから出た言葉。
「何笑ってんのさ」
「衛は優しいなーって」
「……ふんっ」
ツンと向こうを向いた衛の頬が、少し赤い。
「玉砕したら胸貸してくれる?」
「やだよ」
「けちー」
笑ってそう返すと、衛はまっすぐ俺を見てきて。
「遥」
「…ん?」
「胸は貸してやんないけど…ぶっ飛ばしには行ってやる」
「衛…」
「心強いだろ?」
「…うん」
「まー男らしくスパッと聞いてこい」
「はーい。……衛」
「ん?」
「ありがと」
すると衛はニッて笑って、俺の背中を力強く叩いた。
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