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近づく夏 3
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「で?相変わらず一線引かれてるの?」
「…うん」
「寂しいならそう言えばいいじゃん」
「…だって…時生さんの気持ちが、分かっちゃうんだもん…」
『意地っ張りで不器用』
時生さんをそう表した上田さんの言葉を思い出す。
きっと、時生さんは…俺を思って引いてるんだ。
少しずつ、離れようとしてるんだ。
いざという時…そのぬくもりに俺が縋らないように。
……もう、遅いのに。
時生さんが刹那に見せる、困ったというよりは何かを必死に抑え込む表情。
本当、意地っ張りで…不器用だ。
だけど、その不器用さが苦しいくらいに愛しくて…踏み込めないでいた。
「もー、ホントじれったい。お互い好きって分かってんだし、今更何を隠す必要あるんだか。
…まー、時生さんの気持ちも分かるけどさ。それでも遥はそばにいると決めたんだし、向こうだってそれを受け入れた。
遥だってある程度の覚悟してんでしょ?だったらガンガン攻めな。
怖がってるのは時生さんだけって教えてあげればいいんだよ」
「…どうやって?」
「ん〜…遥が押し倒すとか?」
「ええっ」
「寝込み襲うとか?」
「おそっ…」
「かわいく誘うとか」
ちょっと待って、衛さん。
「…エッチしたいわけじゃないよ?触って欲しいだけだもん。
…キスとかは、して欲しいけど…」
「なーにブってんのー。出来ないワケじゃないでしょーよ。個室なんだし。
落ち着いてんでしょ?遥が乗ってあげればいいじゃん」
「乗ってって…!あーもう!この話終わり!勉強するよ!」
すでに食べ終わっていた空の容器をビニール袋に突っ込んで行く。
そんな俺を衛は笑って見ていたけど。
「遥」
真剣な声音。
「…なに」
「我慢すると、余計辛いだけだよ」
「…うん」
衛のその言葉が、痛いほど突き刺さった。
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