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願う冬 1
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「はーるかっ」
「うわっ…衛、痛いってば」
「あははごめーん」
大学校内、一限分の空きがでたためカフェテリアで暇つぶしでもしようと歩いていると、後ろから突撃されてよろめいた。
振り向くとちっとも悪びれていない衛がいて、軽くため息。
「遥次空きなの?」
「うん」
「僕もなんだ。一緒にお茶しよー」
「いいよ」
二人連れだってカフェテリアに入ると、俺たちと同じように暇をつぶしにきたのか、中にいた数人がこっちを見てくる。
まぁ大方隣にいる衛を見ているんだろうけど。
この友人は大学内では大変有名だから。ずば抜けた頭の良さとその美貌で。
男女問わず生徒教師問わず人気がある。
うん。俺睨まれてる気がするのは気のせいだろうか。
「あ、遥。あっちあいてるよ」
「…衛さん、離れて」
きゅっと腕を組んで微笑みかけてくる友人にひきつり笑いを返す。
だけど悠然と微笑んだ彼はそのままずるずると目的の席まで引っ張ってくれた。
席をとってからそれぞれ飲み物を購入し、そして何故か四人掛けの席、向かいに座らず横に座る衛に声をかける。
「…なんで隣なの」
「えーダメなの?」
「ダメとかそーゆうんじゃなくて…視線が痛いです」
空きが多いのか、いつもより人が多い。
俺たちが動くたびに視線も移動している気がするのは、ピッタリと寄り添う友人のせいだ。
特技というかなんというか、衛は″こっち側″の人が分かるという。
その特技を活かしてこの大学内でもひっそりと手を伸ばしてるって言ってたけど…。
「この中に牽制したい相手でもいるの?」
「うん?」
「見せつけるみたいにしてるから」
こっそりとそう言うと衛はじーーっと俺を見て軽くため息をついた。
「やぁっぱり遥は気づいてないよねぇ」
「なにが」
「あのね、遥。確かにこの視線は僕に向けてのもあるかもしんないけどね。
大半は遥にだからね」
「………は?」
ポカンとしていると、また衛はため息をついた。
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