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友達
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やった
やはり目の輝きじゃない
リアリティだ
騙しきれた
俺はソファに座ったまま、苦しそうな演技を続けた
これで誰が見ても、俺はいじめられていることぐらいはわかるだろう
すべて作戦通り
これで俺以外のいじめは消える
それがグループをまとめることらしい
遠くから歌声が聞こえる
正直、歌なんて人を誘惑する道具でしかない
だから、俺には歌の意味はわからない
…でも、この歌声は心地良い
何が違うのかわからないが、焦った感じが逆に落ち着かせてくれる
誰だ?これを歌っていたのは
扉が開き、出てきたのはあいつだった
杉本佑哉
あのバカ正直な男
「ソラ!早めに上がる許可もらえたから、急いで帰るよ!」
そんなことしたら台無しじゃないか
八十島に食べられ、体調悪そうにしてたからって、早退なんてありえない
なにより、八十島と深瀬が満足しない
「ほら、立てる?」
「ダメ…です…ちゃんと…仕事…!」
「そんな状態でいたら、逆に迷惑になっちゃうよ。ソラの録るところは終わってる。早く帰ろう」
…寮に戻ったらあいつらの世話をすれば良いか
よろよろと歩く
全く、こっちの方が筋肉を使うから面倒なのだが
彼は俺に肩をかし、歩いている
「…はぁ、はぁ」
「…後この道を曲がれば寮だから。…もう少しだけ頑張って」
「…は、い…」
思いっきり色気を出していると言うのに、彼には効かない
何故だ?
彼の顔を見ると、若干青ざめている
…なるほど、八十島に逆らったことの後悔か
俺なんか放っておけばよかったのに
寮につくと、彼は俺を俺の部屋までつれていってくれた
「ごめん、入るね」
断ると、部屋でベッドの用意をしてる
何でそんなにキビキビしてる?
「佑哉さん…すいません…シャワー…」
声をかけると彼は振り向いて走ってきた
シャワールームに俺を運ぶと、服を脱がされる
精液で汚されてる俺の体を、嫌な顔ひとつせず抱き上げ、シャワーを当ててくれる
最初あったときは眉間に皺寄せる偽善者だったくせに
何で今、あいつは青ざめた顔で俺を介抱する
「…八十島さんや、深瀬さんがごめん」
振り向くと、彼は泣きながらシャワーを浴びせていた
何故泣くんだ?
わからない
「佑哉さん…?」
「なんでみんな仲良くできないんだろう…同じグループなのに」
そんなの決まってるだろ
世の中は強者と弱者に別れるからだ
なんで当たり前のことがわからない
杉本佑哉が俺の体を見る
疲労の色を残したまま、恥ずかしそうに目を背けてやると、彼の視線が止まった
…俺の尻だ
そういや、バイブが入ってたか
苦しそうにあえぎながら彼に頼む
「佑哉さん…良かったらそれ…抜いて…ください…」
「うん」
ゆっくりとそれが引き抜かれる
喘ぎ、息を漏らす
これだけ色っぽく見せてるのに、彼は効かない
何故だ
何故彼はあんなに焦って介抱してる
焦ってるから誘惑が効かないのか?
「…ねぇ、ソラ」
不意に佑哉さんがいった
俺の手当てを進めながら、ぽつりと
「僕は君がわからないよ」
「…なんのことですか?」
「僕を騙して嬉しいの?」
心臓が凍りつく
何故
今までと同じように、演技を続けていた
何故こいつは俺を見抜く
「…いつから気づいたんですか?」
「一緒に帰ってから…君はまた目が冷たくなった。いや、冷たいんじゃない、嫌な光を持った。僕を騙して、安心したの?何でわざわざ八十島さんに乱暴にされにいくの?わからないよ…」
口下手な彼が、普段より饒舌に話す
泣きながら
彼を見ていると、彼が泣いていると、胸が苦しくなる
涙を止めれば、この苦しさは解消されるのか?
ならばと唇を奪う
「!」
驚いた彼を抱きしめながら、舌を入り込ませ貪る
「ん…ふぅ…やめて…ソラ…」
やめてと言われてやめるやつがあるか 気にせずキスを続ける
すると、彼は俺を突き飛ばした
「…?」
「やめてよ…僕は君と…友達になりたいんだ…こんなことしてもらいたいんじゃないよ…」
友達?
友達って飾りのことだよな
いろんなやつらとおしゃべりして、顔の広さを証明する飾り物
ただ、これはまっとうな人間の飾りじゃないと意味をなさない
俺みたいなものは、奴隷にしてこその価値なんだろ?
どんな大人も言ってたよ
お前みたいな汚いやつは犬か奴隷がお似合いだって
なんでお前は友達になろうとする?
お前は犬になり下がるってことだぞ?
「わからない…俺にはわからない…」
「…roseに来た限りは、同じ仲間だよ。だから仲良くなりたい」
違う
俺は仲間じゃない
彼らの奴隷になりに来たんだ
そういう契約だ
じゃあなんでこいつに悲しい顔されると苦しいんだ
「わからない!」
俺は彼を追い出し、扉を閉めると鍵をかけた
何故か涙が出て、息が止まりそうだった
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