アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
瞳の色
-
*
ソラが倒れた
疲れたのかな
わからないけどこのままにしておくわけにもいかない
ゆっくりと体を抱き上がると、シャワールームをでた
「あ、佑哉さん」
海人が玄関の前でそわそわしてる
確かに部屋を出ようとしたら僕と正面衝突
脇にかかえたソラは全裸
そして今も玄関の扉を叩く音と怒鳴り声
僕もそわそわするだろう
「海人、巻き込んでごめんね」
「あ、えっと、シャワー終わったんすか」
頷くと、海人はソラを抱えてくれた
「なんか気、失ってますね。どうします?」
「とりあえず、服を着せなきゃね」
近くでタンスからTシャツとジーパンを持ってきて着せてみる
…お腹が出ちゃうなぁ
僕とソラの身長がここまでの差とは思わなかった
どうしよう…
別にこのままでもかわいくて良いとは思うんだけど、このままじゃお腹を冷やしちゃう
僕が買ってきて合わなかったぐらいの大きなサイズのシャツをソラに着せる
まだそれでも小さいけれど、まあ仕方ない
「眠ってますね…」
頷く
海人にたのんで彼をシュラフに押し込むと、僕は編み物を始めた
扉を何度も何度も叩かれてて、正直怖いけど、海人がいるからなんとか耐えられる
僕は編み物を始めた
できたら毛布だけでもつくってあげたい
後、海人にも労をねぎらわなきゃ
海人には何色が似合うかな
そんなことを考えながら、ソラの毛布を編む
黒と白のチェック
気に入ってくれるかな
「佑哉さん佑哉さん」
編み物の手を止めないまま、彼を見る
海人は床に寝そべっていた
「どうしたの?」
「あの…お腹すいちゃって」
ああそうか
そういえば今日はまだなにも食べてない
何を作ろうか…
「食べたいものある?」
「なんか肉がいいっすねー」
肉って…
冷蔵庫を見ると、あらかたの食材は入っていた
じゃあ、どうせならハンバーグでも作ろうかな
編み物をいったんやめ、机の上においておく
「海人、手伝ってくれる?」
「ういっす!」
「ケチャップと…ウスターソース混ぜて」
「了解っす!」
挽き肉に塩コショウをまぶしてこね、玉ねぎと卵を混ぜ合わせて…
できたものを焼く
意外と簡単だ
後は、そのまま肉汁の残ったフライパンに海人のソースをいれて、ひと煮立ちさせる
隣で海人も物欲しそうに見ている
「まだだよ?」
「わかってますよー!」
純粋な笑顔
本当に可愛らしい後輩だ
そうこうしてる間に、ハンバーグは出来上がったようだ
3つのハンバーグ
皿に盛り付けて、野菜を軽く切って添え、ソラのいる場所へ持っていく
行くと、ソラももう目覚めていた
「…」
「あ、おはよう。ソラ」
「…」
「ハンバーグ作ったんだ。一緒に食べよう?」
「…」
「おい、なんか言えよ」
しびれを切らした海人が言う
僕は小さい折り畳み式の机を出してくると、その上にハンバーグの皿をおいた
「ほら、食べよう?」
ソラがおずおずと起き上がる
海人も渋々座ると、ハンバーグを口に運んだ
その瞬間、笑みがこぼれた
「うわぁ!佑哉さん!めっちゃうまいっす!」
「良かったぁ」
笑ってくれると僕も嬉しい
作りがいがある
無表情でハンバーグを見つめるソラに食べるよう促すと、ゆっくりと口に運んだ
その瞬間、彼は目を見開く
「…熱い」
ああ、冷ますのは確かに忘れちゃった
「ごめんね」
「…でも、美味しい」
彼はそれだけ言うと、黙ってハンバーグを口に運んだ
海人も黙々と食べている
僕も黙って食べていた
ちょっと中身が固すぎたかな?
でも、二人とも美味しいって言ってくれたから良かった
ふと、ソラを見たら、彼は泣いていた
海人も僕も思わず手を止める
「…なんで」
なんで?
「どうしたんだよ。谷田川」
「…こんな料理不味い。俺が作った方がずっと美味い」
…ちょっと傷ついた
美味しいって、お世辞だったのかな
本当は不味くて、我慢してたのかな
海人が殴りかかろうとしてるのが視界の隅に映り、慌てて海人の手を止めながらソラをフォローする
「ごめんね、ソラ。不味かったら残して…」
「でも俺のより温かい!」
温かい…?
わからないけど、彼は苦しんでた
涙を流しながら、僕の作った料理を食べて
心なしか、その瞳は生きているように見えた
ずっと心の見えないソラの、動揺に続く第二の瞳
憂い
少しだけ、心に近づいた気がした
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 15