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重圧。
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梟谷は一林との試合を最後に決勝敗退となった。
誰が悪かった、とか、なにがダメだった、とか、決定的な敗因は無かった。
強いていうならば木葉が無茶なボールをトスにできたが短く、木兎がそれを決められなかった、それだけのことだった。
「ヘイヘイヘーイ!!」
「なんでまだ元気なんだよ!」
「ちゃんと前見なよ〜」
帰り道になると、木兎はけろっと普通になっていた。感傷に浸るという概念が存在しないようだ。いや、存在している木兎は木兎じゃないか、などとやや失礼なことを考えていた。
「木葉さん、本当にお疲れ様でした。」
「赤葦こそ、お疲れ様。……最後、ごめんね。赤葦みたいにできなかったや。」
「正直俺でもあの場面でトスを作るのは難しいです、木葉さんは悪くない…いえ、誰も悪くないと思ってます。」
「ふふ、ありがと。……俺もそう思う、けど木兎は多分、自分のせいって思ってるな。」
「それもひっくるめてエースなんで……」
「わかる。言えねーよな。」
赤葦と木葉は顔を見合わせて軽く笑った。
「木兎には手を焼いたし、振り回されたし、イラっとすることもあったけど、なんだかんだすげー感謝してるんだよな。」
「同感です。」
ぐっと背伸びをし、力を抜くと木葉が言った。
「多分、一緒にバレーすることはもうほとんど無くなるだろうけど……これからもよろしくな。」
赤葦の方を見て、ニッと笑った。
「……はい。」
そのとき、木葉はやけに重苦しい、作った顔のように感じたが、特別気に留めはしなかった。
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