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オチル。
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「俺ら、どうなんの・・・?」
「機械がもう一度動くのを待つか、救助を待つかの2択でしょうね。」
一体どれくらいかかるのだろうか。早くこの状況が終われと願うばかりだ。
しかし、10分、20分と過ぎても何も起こらない。
「・・・。」
景色が自然と見える、下が見える、
目を瞑ろうにも瞑ったらこの若干不安定な“箱”のまま落ちてしまいそうな錯覚に陥りそうだ。
怖い、こわい、コワイ。
それと後輩に、高くて怖い、なんて知られるのは先輩としてちょっと恥ずかしい気持ちもある。
しかし、そんな虚栄心が恐怖心に勝るわけがない。
「・・・大丈夫ですか?」
「えっ、ああ、全然大丈夫だぞ?」
本当は大丈夫なんかじゃない。怖くて怖くてたまらない。
早く、早く、早く、早く終わってくれ。
そろそろ限界が近いのか、手足が震えてきた。
いくら気丈に振る舞っても、体というものは時に正直である。
「・・・木葉さん?」
次の瞬間、目の前が眩み、前に倒れて手をついた。
「木葉さん!?どうしたんですか!?」
赤葦は木葉の肩をもって言った。
「あのさ、俺・・言ってなかったけど・・・高いとこ・・苦手なん、だよね。」
このまま意地を張っていても意味はないと思い、ぶっちゃけることにした。
「俺、気づかなくて・・・本当にすみません・・・。」
また赤葦に謝らせてしまった。悪いのは俺なのに。
「お前は悪くねえ、よ。・・あと・・お願い、だから・・抱きしめてて、くんない・・・?」
赤葦の腕をぎゅっと握り、少し笑いながら頼む。正直、恥ずかしかった。
「ええ、いいですよ・・。」
優しく抱きしめてくれた腕は、すごく暖かかった。なぜか安心できた。
「・・・俺、落ちたかも。」
「え・・?」
「こんな時に言うのもアレなんだけど、俺・・・赤葦が好きだ。」
「っ、木葉さん、落ちてくれましたね、俺に。」
このとき、心の底から赤葦京治が好きだと思えた。赤葦の気持ちに答えたら、とか、今まで考えていたそんなことは本当にどうでもよくなってしまうほどに。
「嬉しいです、木葉さん___。」
赤葦は、本当に触れるくらいの、軽いキスをした。
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