アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
何もしない。
-
「大丈夫か?」
そう言い、木葉は自分の上着を着せた。
「あの場面、流石に見過ごすわけには行きませんからね。ちなみにおまわりさんはいません。」
建物の角から出てきた赤葦が言った。
「赤葦が言ってくれて助かったよ。ありがとう。」
木葉は振り向いて赤葦にお礼を言った。
「…木葉、なんでここにいんのよ。つけてきたの?キモいんだけど。」
自分のプライドを傷つけた張本人。いくら助けてくれた相手とは言え、やはり顔を見ると怒りが湧いてくる。
「つーか、原因はアンタがフッたから、私らがこんな目に遭ったんじゃん!責任とってよね!」
続けざまに言う。最早、支離滅裂な言い分であった。
「いや、ちょっと待______________」
「何を言ってるんですか?」
木葉の言うことを遮り、赤葦が反論する。
顔には出さないが、怒っているのが木葉には分かった。
「あの高校生を見かけて、急に走り出したからついてきただけですよ。それに助けてもらってお礼も言わずに「キモい」ですか?ふざけてるんですか?…それと、告白を断ることも許されないんですか?人権無視もいいとこですよね?」
女子たちは言葉に詰まる。赤葦の言っていることは全て正論だから。
「あなた達のこと、警察に言っていいんですよ?木葉さんの件…」
「はぁ!?」
3人は驚いた顔をして同時に言った。
「なんで私たちが!?」
「やったのアイツらじゃん!!」
赤葦はため息を吐き、続けて言う。
「あなた達も加担してるんですから当たり前じゃないですか。もちろん、傍観者の方も。
立派な名誉毀損ですね。民事訴訟で示談金と慰謝料、払いますか?それとも刑事訴訟で刑罰受けますか?どうします?」
「〜〜ッ…!」
自分たちのやった事の重さに気づいた。やるのは自分ではないから、という理由で何も思っていなかったのだ。途端に怖くなり、涙目になる。
「赤葦!もういいよ!」
「なんでですか。この人たちは木葉さんを傷つけたんですよ!?許せるわけ___________」
「ありがとう、赤葦。もういいよ。」
木葉は赤葦を諭すように、優しい表情をして言う。
そして、女子たちの方を向いた。
「…俺は、今回の事を女子のしたことだからって、許せるまで心は広くない…。」
その言葉が心にズキンと来た。
「でも、俺は別に何もしない。やり返さない。ただ、もうこんなことはしないでほしい。」
「そ、それだけ…?」
「ああ、それだけ。じゃあ、気をつけて帰れよ。あと、上着はいつでもいいから。」
そう言って、赤葦と木葉は去っていった。
帰り道、木葉は少し疑問に思っていたことを赤葦に聞いてみる。
「ってか、赤葦って法律のそういう系に詳しいの?」
「いや、ぶっちゃけテキトーですよ。アレ。」
「適当であそこまで言える!?」
お前は弁慶か!と口に出しそうになった木葉であった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
41 / 73