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怨んでやる。
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春高の予選が近くなり緊張感が湧いてきて、全員バレー一色になるかと思いきや、この時期にメジャーな学校行事があったことを思い出した。そう、文化祭だ。
ぶっちゃけ何の出し物になろうが特に興味は湧かない、が決まったら協力しようという思いはある。今までもそんなかんじであった。でも今年は少し違う。運が良かったら赤葦とまわりたいな、そしたらどこ行こうかなとか考えている自分がいる。なんかだんだん自分が彼女みたいな思考になっていってるような気がして笑えてきた。
そんなこんなで今3年3組で文化祭の出し物を決めている。今黒板に書かれている候補は、お化け屋敷、迷路、チェンジ喫茶、演劇、縁日、占い、などなどメジャーなものからわけの分からないものまで挙げられていた。とりあえず無難なものに投票するか、と思いお化け屋敷に票を入れる。
紙を集め終えると、文化委員女子2人が紙をめくり黒板に正の文字を刻んでいく。結果は…
「えーと、投票の結果チェンジ喫茶になりました〜」
一言言わせてもらおう、意味がわからない。この案が挙げられたとき、説明を聞き逃していたため内容は全く知らない。まあ別になんでもいいけど…と視線を外にやろうとしたそのとき。
「じゃあ男女それぞれ6人ずつ、女装男装する人決めてね!」
聞いた瞬間、瞳孔が開いた。チェンジってそのチェンジかよ。これはいろんな意味でまずい。なんでもいいとか思ってる場合じゃない。…いやでもウチのクラスは全員で40人、そして男女ちょうど20人。確率からすると30%だ。
よし、逃げ切れる。逃げ切るんだ。と安心しかけたが、
「6人のうち木葉は決定してるからね。」
「は!?!?えっ、なんで!?」
「だってウチのクラスで女装完璧にできそうなの木葉くらいしかいないし。それに言ったよね?チェンジ喫茶だったら木葉確定だって。」
もしかして俺は知らず知らずのうちに生返事をしていたのか…?赤葦とまわれたらとか浮かれたことを考えているうちに…こんなことになっていたとは…
「ごめんな〜木葉、まさかふざけて挙げたのが決まるとは思ってなくてよー」
笑いながら俺に謝ってくる提案者の男子。許さねえ。許さねえからな。という念を込めて細めた目でソイツを見る。
このことが部活で知られるとなるとみんなに笑われるだろう。木兎が一番騒ぎそうだ。赤葦も知ればきっと「木葉さんお疲れ様です。」と無表情ながらも心では笑って言うだろうな…と色々想像すると頭がくらっとしかけた。返事をしたからには仕方ない。責任を持とう。こうなったらとことんやってやろうじゃねえか、と決意した。
「…まあいいよ。今更無理って言うのはちょっとだめだと思うし。」
「よっしゃ決まりね!あ、そうだ、化粧してもいい?」
「いいよ。やるからには別人になるくらいでやってくれよ。」
「お、木葉意外とノリノリだな〜〜?」
決意したのはしたが、心の中では部活でどうバレないように対策を立てるかをまだ考えているくらいには往生際が悪かった。そこで俺が考えたのがバリバリ女装するということ。
中途半端に女装すれば木兎たちに一瞬でバレるに決まっている。だからバッチリ決めれば逆にバレにくいのではないのかと判断したのだ。さて、これが吉と出るか凶と出るか…
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