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昨日の続き。
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「あー!お兄ちゃん達がちゅーしてるーー!!」
心臓が口から飛び出るようなことを大声で言われた。心臓が大きく脈を打ち痛いほどだった。ぎょっとして振り返ると、4、5歳くらいの小さな男の子。おい親は何してるんだよ親は。子どものことちゃんと見とけよ。迷子になるぞ。
とか思ってる場合じゃない!こんな大声で言われたら親か、生徒が見に来る!顔がバレたら結構キツい!
「木葉さん、逃げますよ。」
「お、おお!」
赤葦は木葉の手を引いて一目散にその場から立ち去った。
すぐあとに母親と生徒らしき声が聞こえたのでかなり危ない状況であったのが分かる。向かいの校舎側へ急いで入り、なんとか事なきを得た。
「な、なんでバレたんだよ…」
「そりゃ、格好は誤魔化せても声は誤魔化せてないですからね。」
「あーなるほど…でも大声で叫ばれるのはめっちゃくちゃビビったっつーの…!」
「子どもはみんなそういう習性なんでしょうかね…」
「もー怖すぎんだろ…てか時間きたし…」
「10分って早いですね。」
「な…。っし、じゃあ戻るわ。明日お前んとこ行くからな!」
「了解です、楽しみにしときますね。」
文化祭3日目。
この日は木兎も空いていたらしく、一緒に赤葦のクラスへ行った。赤葦のクラスはお化け屋敷をやっていて廊下から悲鳴が聞こえてくるほどだった。文化祭のお化け屋敷で悲鳴が上がるって、大袈裟すぎるのではないのか。文化祭で気が高ぶってノリで言ってるだけだと思う。
だがどう聞いても素の悲鳴のようであった。一体どれだけ力を入れたんだ2年6組。横で悲鳴を聞いた木兎が「すっげえトイレ行きたくなってきたんだけど!」などと騒ぎ始めた(小学生かよ)
順番が回って中へ入ると薄暗く何があるのか全くわからないほど暗幕の使い方が上手かった。先客は相変わらず悲鳴を上げ続け、自分も緊張してきた。
「なぁ木葉?怖すぎねえ…?」
「まだなんもないだろ…」
「お、おぅうわぁぁぁぁぁ!!!肩!肩!肩!!触られたって俺もう怖ぇよ無理!!」
「おま、いってえよ腕思いっきり握んなって!!落ち着けってうわぁぁああ!!」
木兎に落ち着けと言っておきながら足首をガシッと掴まれただけで叫んだ自分もどうかと思った。進むにつれ木兎の馬鹿力は増すばかりでこのままでは腕が鬱血する心配があったので無理矢理引き剥がしてやった。すると「木葉マジで先行くなよ?横にいてくれよ?」とうるさいほど念を押してきた。
曲がり角に差し掛かったとき、暗幕の間から腕が伸び、木葉を引っ張った。
「えっ、ちょ…」
「木葉さん。」
耳元で囁いたのは赤葦。後ろを振り向いて見てもぼやっとしか姿が分からず、右手で頬あたりを触ると指に柔らかい癖っ毛の感触があり認識できた。
「え…?あれ…?ちょ、おい木葉…?置いて行くなって言ったじゃああああん!!先に行くなってええええ!!怖いいいいい!」
木葉がいないことに気づいた木兎は、全力ダッシュで出口へと向かった。それを聞いていた木葉はすまん、でも俺はここにいるぞ。と心の中で謝った。
「さて、邪魔者は消えましたね。」
「お前なあ……!?!?…んぅっ、…ふっ……っあ」
赤葦が腰に手を回して唇を重ねてきた。油断していたため口は全くガードできておらず、赤葦の舌がするりと入ってくる。舌を絡み取られ、うまく呼吸ができず声が漏れてしまう。水音が嫌でも聞こえてくる。誰がに聞かれでもしたら…いや、客の悲鳴に綺麗さっぱり掻き消された。しかし至近距離の赤葦にはきっと聞こえているだろう。
「…っ昨日の続きです。途中で終わっちゃったんで。」
「だからって、がっつきすぎじゃね…?一瞬呼吸困難になりかけたんデスケド。」
「あぁすみません。」
赤葦は悪びれる様子も無く、ぶっきらぼうに謝罪の言葉を述べた。反省する気ゼロだ。
「あと、手離して?アイツ多分廊下で俺のこと探してると思うからさ。」
「知ったこっちゃないです。」
「なんか…木兎に厳しくね?」
「冗談ですよ。行ってあげてください。」
赤葦はパッと木葉の手を離し、木葉を暗幕の外へ出した。
そのまま出口までさささっと行くと木兎が驚いた顔をしていた。
「あ、えええ!?木葉!?先に行ったんじゃなかったのか!?!?」
「俺、後ろにいたけど。お前が勘違いしてダッシュしたんじゃねーか。」
「なんだよおおおお!…ってゆーか、なんか顔赤くね?そんな中暑かったか?」
「え!?あ、そうか、もな!うん!ちょっと暑かった!」
また顔赤くなってんのかよ…今度は無意識のうちにって…。
暗闇の中で、赤葦のキス。正直気持ち良かった。溶けるくらい。キスってあんなのだったっけ?前は緊張とかであんまり気持ち良いとか分からなかったのだけれど。また、したいな。なんて思っていた。
木葉は人差し指で唇に触り、ふふっと笑った。
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