アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第1話さよなら僕の片想い
-
春風が心地よく吹く暖かい日差しに
包まれたある日の朝。
僕は朝から早く誰もいない学校へと急いだ。
チュン チュン
時おり鳥達の鳴く声が、高い空の上から聞こえてきた。
鳥達は大空の中をダンスしているかの様に、軽やかに羽ばたいて飛んでいた。
僕はまだ誰もいない学校に1人でつくと、校門をくぐって足早に校舎へと向かった。
ガラガラガラ……。
僕は教室のドアを開いた。
朝から学校の教室は閑散としていた。
そして、教室や廊下には誰もいなかった。
僕はA君の机の椅子に座りこむと、自分の筆箱から彫刻刀を取り出した。
そして、誰もいない教室で僕はA君の机に密かに小さな文字を掘った。
三角マークを掘り、下に棒線をひっぱった。その中のわかれた中央にA君のイニシャルの名前と、僕のTのイニシャルの名前を書いた。
僕はふと我に返り自分の顔を赤く染めた。
やだな。自分なにやってるんだろう…?
僕はA君のイニシャルの名前を書いたら、なんだか急に恥ずかしくなった。
その時、奥の教室からドアが突然ガランと開いた音がした。
「あれ、お前朝から何やってるんだよ?」
僕はその声に思わずハッとなって、後ろをふり返った。
A君は教室の入り口で、不思議そうに僕を見ていた。
「あっ、アキラ君…!?」
僕は突然のことに驚くと、椅子から慌てて立ち上がった。
「なにやってるんだよ永久(トワ)、それ俺の机じゃん?」
僕は突然の事に驚き、彼の前で挙動不審になりながらも言い返した。
「あ、あれ?」
「そうだったけ…?」
「ごめん間違えた!!」
アキラ君は不思議そうに僕を見てくると、いつもの足取りで僕の方へ近づいて来た。
僕は慌てながらそこを退こうとした。
「あ、ごめん今どく!」
「永久、朝からボケてるなよな?」
アキラ君は軽く笑うと、自分の机に座ろうとした。
アキラ君が自分の机に鞄をドンと置くと、鞄を置いた衝動で机が軽く揺れた。
そして、机の中から彫刻刀がポロンと床に落ちた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 202