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その後 25
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そして、ドアをあけると広がっていたのは、
朝霞さんがいて、
「おかえり」
と、言ってくれて、
温かく笑ってくれる、
そんな日常。
そして、ひしひしと感じた。
ああ、今から俺は、これを手放すんだ・・・って。
「颯君、お帰り。早かったね」
朝霞さんがキッチンから顔を出して、俺にそう声をかけた。
それに答えるように笑うと、
「・・・って、もしかして・・・急いで帰ってきてくれたの・・・?」
朝霞さんが俺の乱れ具合に気付き、目を丸くして驚いた。
たぶん、心配もしてくれてるんだろうなあ・・・
・・・でも、ごめんなさい。
これから、俺のせいでもっと、びっくりすることになってしまう。
そう、今日は一生記憶に残る日になる。
「・・・今日は、特別な日だから」
そう。
きっと、朝霞さんの記憶にも残る、最悪に特別な日になってしまう。
拾ってあげて、弟のように可愛がっていた年下の男に、勘違いした好意を向けられる、最悪の日。
しかも、俺が耐えられないからなんて、勝手な理由で、だ。
せめて、俺を助けたことだけでも、後悔しないといいなあ・・・
なんて、そんなことを思うのも勝手かな・・・?
そう、思った。
でも、それでも言わなきゃいけないから。
そう、たとえ
・・・ふられることが、わかっていたとしても。
「・・・朝霞さん、俺話したいことがあるんだ」
静かなリビングに、俺の声だけが反響する。
よかった。
声、震えてしまうかな、と思ってた。
けど、案外、大丈夫なものだな。
・・・そうやって、別のことを考えてみたりした。
でも・・・。
「・・・うん。きくよ」
朝霞さんは何かを察したのだろう。
とても真面目な、真摯な顔つきで俺を見ていた。
きっと、もう、気付いているのでしょう?
俺の、気持ち。
だって、朝霞さんの今の表情は、困った表情だ。
そんな表情をされたら、もう返事はわかってしまう。
なのに・・・
「颯君、言ってごらん」 ニコッ
・・・いつものように、優しく微笑むんだ。
この人は、どうして・・・
「朝霞さん」
こんな俺に
「俺・・・」
優しいのだろうか・・・
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