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その後 ~朝霞編~ 49
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「ただいま」
突如玄関から響いたその声に、僕は自分の世界から引き戻された。
あれは海斗の声だ!
嬉しくなった僕は真っ先に玄関に向かおうとした。
が、
僕が家に帰ってきている、ということを知らない弟は、驚いたらどんな顔をするだろう、
と、僕の中の悪戯心が顔をもたげた。
でも、思えばこの時の僕は、久しぶりの弟との再会に、頭が行き過ぎていたのかもしれない。
そう。
そのときまで、すっかり忘れていたのだ。
・・・海斗のつれてくるオトモダチの存在を。
「海斗、お帰りなさい。遅かったわね」
先に玄関にたどり着いた母さんが、海斗にそう声を掛けていた。
位置的に、調度母さんとかぶって海斗は見えない。
きっと、海斗からも僕は見えていないだろう。
僕は母さんの背中に隠れるように移動した。
よしよし。
気がついてない・・・
そして僕は、母さんの肩の位置から、顔をのぞかせて
「おかえり海斗~」
いきなり声を掛けた。
きっと、海斗はビックリするんだろうな、なんて、そのときは思っていた。
でも、本当にビックリさせられたのは・・・
僕の方だった。
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