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学校
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電車の中で友人や部の先輩へ簡単に返信してスマホを鞄に入れると、目的の駅まで目を閉じていた。
少しも落ち着きはしなかったが…。
学校のある駅までは電車で15分。
次の駅からは都心に向けて一気に人が増えるからその前に降りる事の出来る駅に学校がある。
それは本当に有り難かった。
受かって本当に良かったと常々思いながら登校していた。
とはいえ、いつもは人の流れに添ってスイスイ歩く祐羽も今日ばかりは体が重い。
それどころか、何より心が重くて足取りが遅くなってしまう。
九条の事を考えないようにしようとしても頭から離れてくれない。
考え事をしながらとぼとぼ歩くのは注意力が散漫になってしまう。
「あっ!」
ホームで背の高いサラリーマンとぶつかりそうになり、必要以上にビクついてしまった。
あの九条とは似ても似つかないとはいえ、スーツ姿は心臓に悪い。
ドキドキする胸を押さえて、祐羽は再び歩き出した。
「おいっ、月ヶ瀬~!」
「…あ、おはよう」
そんな駅のホームから改札を抜けたところで、声を掛けられる。
そちらへ視線を向けると、友人の賀川 純弥(かがわ じゅんや)が軽く手を上げて笑顔で近づいてきた。
茶髪でイケメンというとチャラそうと思われがちだが、賀川はどちらかというと落ち着いていて頼りになる。
そんな仲の良いクラスメイトの姿に内心安堵する。
「はよ~。ってどうした?朝からなんか疲れてないか?」
賀川にそう指摘されて、ドキッとする。
この休みにあった出来事を知られている訳ではない。
男に無理矢理体を犯されたショックは、精神的にも肉体的にも尾を引いている。
それに追い討ちをかけるような中瀬からの伝言。
いつ連絡が入るかと思うと、内心ビクビクしており気が気ではない。
その気持ちが表情に出ているらしい。
「う、うん…ちょっと。寝不足…」
まさか本当の事を言えるはずもなく、当たり障りのない返答に、賀川は心配そうに眉を寄せた。
「寝不足?あんま今日は無理すんなよな~」
「うん。…そうする」
彰に言われなくても、今日は部活など出来る体ではない。
休ませて貰って、早く家に帰ろう。
そう思いながら、祐羽は重くて痛い腰を引摺り学校へなんとか辿り着いたのだった。
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