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勇気を出して
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ベッドの縁から戸惑いながら画面を見る。
見間違いかとも思ったが、どう見ても『九条』の文字がドンと浮いている。
本人もそうだが、苗字さえ迫力がある様に感じるのは思い込みすぎだろうか。
スマホの画面がスリープしてから漸く祐羽は体を起こして、ベッドへ腰かけた。
「う…、何で僕の連絡先知ってるの」
九条の電話番号も知らなければ、向こうに教えた記憶もない。
交換なんてそんなフレンドリーな事をするはずもないのに、何故かメッセージアプリで繋がっている。
いつの間にか勝手に登録されたであろう電話番号に戦慄を覚える。
「なんか怖いよ、どうなってるの?」
そう言いながら祐羽は手に取ったスマホを操作して、メッセージアプリを表示させる。
通知数が②とある。
このアプリは通知数は知らせても内容迄は見えない仕様となっているので、開いて見なければ九条からの用件が何かは謎だった。
「う~…九条さんからとか意味が分からないんだけど。今日まで出張の九条さんが僕を呼び出す訳もないし…」
全く検討もつかなくてメッセージを読むのが心底恐ろしい。
まさか自分の企みが九条にバレたなんて事もないだろう。
いや相手はヤクザだ。
「まさか盗聴器が仕掛けてあるとか?」
疑い出すと切りがないが、つい鞄の中を探ってしまう。
どうやらなさそうだ。
「う~ん、う゛ぅ~ん…はぁっ」
再びベッドに腰かけた祐羽は、暫く悩んだがいつまでもこのままでいられる訳がないと諦めの溜め息をついてスマホ画面を見た。
「ふうっ…。よしっ!」
気合いを入れると指を近づける。
そして目を閉じてから画面をタップした。
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