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「――星が」
「え?」
「星の形が、俺が産まれたところとは違うな――」
「ああ――」
暁丸と並んで夏の夜空を見上げながら、三日月は静かにうなずいた。
「星座の形が、この土地と、君が生まれた土地では違うのか。君は本当に――遠いところから来たのだねえ、暁丸――」
「遠くったって、あの星よりゃ近くだよ」
暁丸はあっさりとそう言い放った。
「……なるほど」
三日月は、しばしその緋色の瞳をしばたたいた後、楽しげにクスリと微笑んだ。
「さすがに、俺もな――あそこまでは、まだ、ちっとな――」
暁丸は、夜空の星をその金の瞳で眺めながら、ポツリとそうつぶやいた。
「『まだ』ということは――君がもっと成長すれば、君は星々の世界にまで到達することが出来るということかい?」
三日月は、驚いたように大きく目を見開いた。
「だっておまえ、俺は、竜だぜ?」
暁丸は、大きく胸を張り、当然のことのようにそう言い放った。
「……なるほど」
三日月は、わずかに開いた唇に、その驚愕の名残を見せながら、それでも一点の疑いもなく、暁丸の言葉に大きくうなずいた。
「竜という種族は――本当に素晴らしい、本当に凄まじいものなのだねえ、暁丸――」
「……でも、俺、ここに来るまで、こんなにじっくり星を見たことなんて、なかった」
暁丸は、ポツリとそうつぶやき、夜空の星から傍らの三日月に視線を移し、そしてほんのり、頬を、染めた。
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