アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
27
-
テツヤ
テツヤ
っと何度も何度も頭に響いてきて
兄さん、兄さん
何度も思った
白い空間の出口らしいものが現れたのはその時だった
白くて何も見えないはずなのに
風のようなものがザッと吹いた
するとどこか握られている感じがした
優しく包むように
そして温かくて
それを僕も無意識に動かした
何度も
そして握られているその手を握りかえす
握りかえしたことで
手だと言うことも分かった
僕の冷たさがこの誰かわからない手を
いや、兄さん…かな
握りかえし、力が出ない手で握りかえす
ナ「テツヤ!テツヤ!」
んっんん
また
真っ暗だ
ナ「テツヤ!テツヤ大丈夫か?!」
この声
やっぱり
「にぃ…さん…?」
そうだよ
そうだよ
でもその声も震えていた
おそらく、泣いてる?
その予想を確実としたものが手にあたる
手にぽたっと
涙…?
泣いているんですね兄さん
?「テツヤ、会えたなやっと」
誰でしょう
この声
どこか聞き覚えのある
音色もテンポも
まさか!
「優也…くん、優也…くん?ゆう、やくん!!」
絶対優也くんだ
人間観察をし続けた僕が間違えるはずがない
優「あぁ!そうだ!」
優也くん
会えた、君に会えた
祥「テツヤ!大丈夫か!」
はい
灰崎くん
僕を助けてくれたのは
君だ
感謝しきれない
などそんなこと考えていると
嗚咽が聞こえた
僕の布団も握りしめ、なくナツヤがいることが分かった
なきじゃくる兄に微笑みかけたかったが
笑い方が分からなくて
無表情で目が見えない真っ暗な世界に
僕はまた悲しくなってしまった
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
31 / 66