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恐怖3
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「不潔で傷つけられても放置され
傷口がじわじわと菌に侵され
その身を蝕み死を常に間近に感じる
あの場所に……」
噛まれる痛みで耳から離れた手を取り
両手をひとつに束ね
ゆっくりと囁く
がたがたと震えが大きくなり
次第に拒むように首を振る
やはりこの子は面白い
自分の膝の上で
自らが抱えてきた恐怖に怯え
自分のそれも他人の不幸も全ての
元は自分にあると思い込む憐れな人の子
そして何より
恐怖に怯えて見開き一層美しく
見える緋い瞳
その瞳もいつかは自分の物になる
そう思うだけで
邪仙はぞくぞくとした喜びを感じた
「ぃ……いや、だ…………もう戻りたくないっ」
「では……妾の傍にいなさい
妾の所有物であり妾の玩具であると
今ここで誓いをたてなさい」
「………………ちか、い?」
「そう
妾が緋宵の所有者である限り
妾の命に従って従順になると
その代わりに緋宵には今までにない
幸福というものを与えます
嫌ですか?」
真っ直ぐに互の目を見つめ合い
束ねていた手を開放し
今度は優しく髪を撫でる
緋宵にどうしようかと迷う余地などない
今はこの残酷なけれど自らを庇護すると言う神と名乗るモノに縋るしかないのだ
「…誓う、邪仙…様に……」
神の仮面のような表情の口元に
ゆっくりと笑が浮かび
そっと緋宵の細い体を懐の中に
抱きしめた
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