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2月の寒空の下、待ち合わせ時間より早く着きすぎた雑踏の中。
街頭の大型スクリーンには、最近公開された邦画のコマーシャルが繰り返し流れてて。
好き、とか愛してる、なんて繰り返し言う人気俳優にげんなりした。
バッドエンドしか用意されてない恋をしてる自分にとって、そんな言葉達は虚しく感じられて。
映画みたいに、最後に想ってる人と結ばれるなら、どんな事だって耐えられるって思うけど…。
この間の夏に、里見から聞いた結婚の話。
卒業したらって言ってたけど、それが実際いつなのか結局聞けなくて。
来月に卒業を控えてる今、過ぎていく時間に焦って。
できるなら4年前に戻って、もう一度里見との大学生活を過ごしたいって。
今どき中学生でも思わない様な事を本気で願ってしまう。
「昴さん」
暗くなりかけた思考を遮ったのは、
聞き触りの良いハスキーな声。
俯いてた顔を上げると、優希くんが白い息を吐きながら微笑んだ。
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