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過去のお話1
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痛い。怖い。やめて、お願い、やめて。どうしてこんなことをするの? 僕が、普通じゃないから?
一方的に与えられる衝撃に息が詰まる。胃の中のものはすでに出尽くして、みぞおちをすごい力で蹴られても今はただ胃液ばかりが口から溢れるだけ。
抵抗することはもう諦めた。
助けなんてもうとっくに諦めてる。
内臓を傷つけられたらたぶん死ぬ。咄嗟にそんなことを思った。
背を丸めて丸くなる。力の入らない腕で膝を抱えて。これが僕にできる最初で最後の抵抗…
一瞬、薄暗い路地裏から見上げた空はこんな陰湿な状況に不釣り合いなくらいに綺麗な青で、なんだか笑いがこみ上げてきたんだ。
男のクセに。キモいんだよ。死ね。
そんな罵倒が耳を通り抜けていく。
ねぇ、知ってるよ。君は僕の彼女のことが好きだったんでしょ。告白されて振られたんでしょ。その彼女がよりによってこんな女みたいな男と付き合ったのが許せないんだよね。知ってるよ。でもよかった…彼女には手を出さないでくれて。彼女はいい子だから。僕が我慢すれば…
「ねぇ、そこで何してんの? おにーさんた
ち」
「警察呼んじゃっていいかなぁ、春樹」
「いいんじゃないー? だってこれ、犯罪でしょ? 呼んじゃって、冬樹」
そんな場違いなほど呑気な声が聞こえてきた。とうとう自分がおかしくなったみたい。助けなんてくるはずないのに、助けてくれてるみたいな、しかも同じ顔した人が立ってる。
でも衝撃が止んだのは事実で。
なんだ、お前ら。なんて僕をリンチしてた奴らが悪役の代表みたいな言葉言ってるのも聞こえてきて、続いて聞こえたのは痛そうな音で、くそっとか覚えてろよ、とかそんな声も聞こえてきて、マンガやアニメじゃなくて現実でそんなのが聞こえてきて思わず笑ってしまった。引き攣るような痛みが襲ってきてすぐに眉を潜めてしまったけど。
「ねぇ、君、大丈夫?」
「かなり手ひどくやられたみたいだね。病院、いこうか」
「待って、冬樹。この子のズボンと下着、その辺にない? 何も履いてない」
あぁ、そうだ。さっき脱がされたんだった…
「ちょっと、しっかりして。やばいよ春樹。この子、意識ないかも」
「え、嘘。さっき目合いてたのに」
大丈夫だよ。意識はあるよ。ちょっと眠いだけ。
「冬樹救急車!」
そんな、大袈裟だな…
そう思ったところで意識が途切れた。
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