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悲しいの?
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なにか暖かいものを肌に感じてゆっくりと意識を浮上させた。
見覚えのない天井。後ろから誰かに抱えられているのがわかる。視界が白く曇っている。ここは…
「おふ、ろ……?」
小さく呟く。
後ろからぎゅぅっと抱きしめられ、低く囁かれるおはよう、という声。
この声……春樹じゃない、よね……
冬樹…?
二人の声は正直同じと言ってもいいくらい似ている。でも冬樹の方が少しかすれてて色っぽい声な気がするんだ。
腰をぐいっと捻って振り返る。
ん? と言って微笑むのはやっぱり冬樹。ぼくの額に唇を落とし、濡れた髪に頬を寄せる。
そんな冬樹に違和感を感じたのは何故だろう。
別に何があったわけでもない。ただただひたすらに何かが違うと思っただけで。
「とうき……?」
「姫、どうしたの?」
「冬樹、どうしたの? なにか悲しいの?」
悲しい……?
どうしてそんな言葉が出たのか自分でもわからない。
でも、なんだか冬樹が悲しそうで苦しそうで、見てられないって思ったんだ……
冬樹はやっぱり悲しそうに微笑むのに悲しくないよって首をふる。
隠さないで欲しいのに。
無理をしないで欲しいのに。
もう少し、頼って欲しいのに。
だって、ぼくたちは恋人同士になったんだから。
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