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叶わない
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さらさらと流れる砂を蹴って走る。
別にあの双子を信用していないわけじゃない。那都に何かあるんじゃないかって心配してるわけでもない。あいつらが一緒なら絶対に大丈夫だって、分かってる。
それでも嫌なんだ。少しでも早く辿り着きたいんだ。
どんどんと洞窟が近づく。
もやもやとしたが強くなる。
この気持ちはなんなんだ。これが恋、なのか。
低い段差を飛び越える。
ぽっかりと口を開けた洞窟を入り口まで回り込む。
着いた。
はぁっと息を整える。顔を上げた。
「なに、してんだ。お前ら……」
胸の奥がズキンっと痛む。
なんだこれは。
何が起きているんだこれは。
どうして、那都と春樹が…キスをしているんだ。
ズキンっズキンっと治ることの知らない痛みが暴れ出す。
「奏汰! 早かったね!」
那都が笑顔で振り返る。
どうして冬樹は何も言わずに見ているんだ。
「奏汰…? どうしたの……?」
心配そうな声。
春樹と那都は付き合っているのか?
「ねぇ、どうしよう……春樹、奏汰がなんか変だよ……」
あぁ。そっちを見るのか。
やっぱり那都は春樹と付き合っているのか。
そうか。俺は…失恋をしたのか。
この痛みはそうか。失恋か……
間に合わなかったのか。
俺は、好きな女1人手に入れることさえ叶わないのか……
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