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言うことを聞かない体
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あの海の日から1週間が経った。
あの日、しっかりと認識した彼女への気持ち。
彼女が、那都が、春樹にキスをしている。そう思ったとき、俺はみっともなく頭に血が登り、みんなが分からなくなった。それこそ、そう。那都さえも。
情けないな……
そんな自分に自己嫌悪が襲う。
みんなは何もなかったかのように接してくれる。けど、それが余計に俺を追い詰めに来る。
すこし、距離をおこうか。
そう思いながらも、部室へ向かう足が止められない。ドアノブへ伸びる手が止まらない。
少し、複雑な気分でドアを開けると、そこには那都が一人でいた。
……いや、眠っていた。
起こさないようにそっとドアを閉める。
足が自然と那都の元へ向かう。
物音を立てないように静かに隣に座ると、那都を眺める。
少し、こちらを向いたその無防備な那都がたまらなく可愛くて、たまらなく愛おしい。
柔らかそうな頬が少し赤く色づいている。暖房がついていて、少し暑いのかもしれない。
那都の横にあったリモコンを手に取り、少し温度を下げてやる。
そっと色づいた頬に触ると、指先が柔らかな弾力に包まれた。那都の薄い綺麗な瞼が微かに震え、開かれる。
上体を起こした那都の寝起きにぼぉっとした目が俺の視線を絡めとる。
俺を見ながら、どことなく潤んだ瞳に小さく開かれた唇。
ダメだと思う心と、いうことを聞かない体。
那都の顔に引き寄せられる。
唇に柔らかいものを感じ、温もりを感じた時、やってしまったと、そう思ったことだけは覚えている。
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