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あれは……藤堂?
デートの帰りに通りがかった公園で、見知った顔を見た気がした。思わずそちらに意識が向かう。
「いっせー? どーしたのー?」
歩みを止めた俺を不思議そうに呼ぶ声。くいくいっと控えめに袖を引くのは今日のデート相手、ユカちゃん。
この子はとても童顔なクセにいい声で鳴いてくれるから癖になる…
…っと……
俺の視線に気がついたのか、ユカちゃんが藤堂を見る。同じ授業をとっているから知っているはず。
案の定、公園の中にむかって呼びかけた。
「とーどーくーん!」
そう広い公園でもないのに、その声が届いていないのか反応がない。
……おかしいな。
「あれー? 聞こえなかったのかなぁ? 近く、行こうっ?」
「…や、なんか変だし……そっとしといた方がいいかもな。ほら、ユカちゃん行こう。家まで送るから」
公園に入ろうとしたユカちゃんを引き止め、連れていく。
公園近くのユカちゃんが一人暮らしをしているアパートまで送ると、俺は再び藤堂がいた公園へと戻った。
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