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行方不明3
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キーボードを打つ手を止めて、ぐぅっと背筋を伸ばす。できた書類をまとめようとして"それ"がない事に気がついた。
トントンっとリビングに降りていき、ソファでだらっと座っている(寝っ転がっている?)妹に声をかける。
「みーかーちゃん!」
「……遥、なに……?」
おっと、不機嫌……これはダメかなぁ…
「美夏今暇? お仕事で使うのにホチキスの芯なくなっちゃってさぁ……まだ終わらないから買ってきて欲しいなぁ、って……」
「…………無理。今忙しい」
顔の前で手を合わせてお願いをするも、チラッと目線を投げた美夏はゴロンと寝返りをうって背を向けてしまう。その不機嫌さがいつもとは違う気がして首をかしげた。
「美夏なにかあったの?」
そういえば金曜日はいつも彼氏とデートをしていて、もっと遅かったはず。今日もその予定で、こんな時間に家にいるのは、冷静になってみればおかしかった。
ソファを回り込んでそっと顔を覗き込むと、ちらりと見えた目が真っ赤に充血している。
「…………振られた」
ぼそっと低くつぶやかれたその言葉に目を見張る。
「話、聞いてあげるからちょっと待ってて。仕事終わらせてくるから」
「………ありがと」
スマホを取り出し、可愛い弟のアカウントを呼び出す。
ホチキスの芯となにか甘いものをいくつか買ってきて、とメッセージを入れると、可愛い妹の愚痴を聞くため、部屋に戻り仕事へ取り掛かった。
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