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社畜予備軍の朝
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「おはよーございまーす」
1月6日。ガチャ、と会室のドアが開き、マフラーとコートをもこもこに着込んだ嗣川と月詠が入って来た。
「おはよう」
「うぅわ流石は神楽、早いねぇ。もう仕事してんの?」
「ああ、今日は雪が降ってるからいつもより少し早く家を出たんだ。そうしたら案外早く着いた」
はぇー、と気の抜ける謎の声を発しながらマフラーを解くと、静電気でふわふわになった髪を押さえて「ちょっと直してくる~」と言って出て行った。
「紫月」
「ん?」
自分のコートをかけた後、嗣川が机の上に置いて行ったコートとマフラーもハンガーに掛け、俺の向かいにある定位置についた月詠は少し首を傾げて「進捗はどう?」と訊いた。進捗?
「何のだ?」
月詠に尋ねられるような特別な仕事は特になかった筈だ。そもそも今日は年明け最初の生徒会活動なのだから、仕事の内容は一番早く来た俺しかまだ知らない筈。
「夜の」
「なっ」
一瞬で顔がカッと熱くなる。確かに相談したのは俺だけど、思わぬタイミングで何の脈絡もなく話題を振られては堪らない。
「お前、そんな唐突に」
「『今からシモの話するよ』って言った方が良かった?」
「…………」
閑さんの一件の前と比べて心を開いてくれている気はするけど、同時に外れなくていいタガまで外れた気がする。
「冗談だよ。……閑さんが、もし紫月が困ってるなら、確実に気持ちいいことをしてから後ろを弄ればいいって」
「……早朝からそんなアドバイスをされる俺の心境が分かるか?」
「早朝から妄想のネタになりそうな話を始められて会室に入れない私の気持ちが分かる?」
バーン! と大きな音を立てて開いたドアから(明らかな本音を漏らしながら)嗣川が戻って来た。その後ろから不気味に笑顔な佐神と、佐神に耳を塞がれて不思議そうな顔をした鵜野がやって来る。
「おはようございマス、神楽会長」
「……おはよう」
何だかんだ、この生徒会室において一番怖いのは佐神だと思う。
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