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朱賀 扇
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生徒会の仕事もなく、休みにどこかへ遊びに行くほどの仲の友人もクラスに居なければ桜和とも不通の今、完全に暇だった俺は、いつでもと答えた。
その、翌日。午前11時40分。
俺は平日の往来の中で先輩を待っていた。
「──わっ」
「うわぁッ!?」
背後から突然大声と共に飛び付かれてバクバクと暴れる心臓を抑えながら振り向くと、悪戯が成功して嬉しそうな朱賀先輩が片手をヒラヒラと振って立っていた。
「やっほー、紫月。待った?」
「待ってません、元気ですね先輩」
「超元気だよ〜推薦受かったしねー」
んー、と伸びをして、先輩は怠そうな目で笑った。見慣れた先輩の笑顔だ。懐かしい。
「おめでとうございます」
「ありがとー」
んじゃー行こうかーと、緩く歩き出した先輩のあとをついて行く。「奢るから一緒に飯に行こう」と言われたのだ。それなら行きませんと言ったらじゃあ5割払ってもらうから、と食い下がられて渋々承諾した。
なんでも、クラスメイトたちはまだみんな受験が終わっていないから遊びに誘う訳にもいかず、暇を持て余していたとか。
「紫月って嫌いなものあったっけ?」
「いや、特には」
「ん〜よしよし、じゃあ大丈夫だなー」
この人の緩さは、こっちまでいい感じに脱力してしまう。気分転換にはいい相手かもしれない。
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