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焼け石に水
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「─………ら…ぐら……」
「神楽!」
「っ!?」
「やっと気が付いた。見回り行かないの?もう真澄ちゃんたち帰っちゃったよ?」
「…ぇ………」
全く気が付かなかった。外を見れば、陽はとっぷり沈んで真っ暗だった。
手元に再び視線を戻すと、山積みにしていた資料はもうあと数枚になっている。
「わ、悪い!!すぐ片付け…っわあぁっ!?」
─ガッシャーンッ!!
「ぅ…いたた……」
「あーもー、神楽大丈夫?別に焦んなくても大丈夫だって。寧ろ焦ったら神楽は怪我するんだから」
焦ってパソコンに保存をかけ、勢い良く立ち上がってパイプ椅子の脚に見事に躓いて椅子と絡まったままコケて資料をぶちまけてしまった。
立ち上がろうとして、再び床に座り込む。踝に鈍い痛みが走った。
「─…っ」
「神楽?」
「ぁ…な、何でもない。資料は明日シュレッダーにかけるからそこの箱に…」
「ん」
なかなか立ち上がらない俺に違和感を覚えたらしいが、何とか気丈に振舞って誤魔化す。これから見回りで、しかももう遅いのに怪我したなんて言えない。
肉体の痛みは、幾らでも耐えられる。
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