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嫉妬
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そんな風に和音さんと話していたら、いきなり視界が暗くなって体を強制的に反り返らされる。
「ぅあ!?」
「あーらら、桜和怒ってんの?お兄ちゃんのことそんな睨まないでよ」
どうやら受付から戻ってきた桜和が目もとに手を当てて俺の頭を引っ張ったらしい。
「お、桜和…?」
「神楽が真っ赤になるようなことって…何?」
─普段話すときはそんなに照れたりでしょ。
声が冷たい。怒りを押し殺してるようにも聞こえる。ここが公共の場じゃないなら、今すぐブチギレてしまいそうなくらい。
「……その辺は神楽くんに訊いてみれば?ここは俺がお金出してあげるから先車戻ってなよ。ついでに一時間ぐらいどっかで時間潰してきてあげる」
「……」
無言で俺の目から手を離すと、桜和はそのまま投げ渡された鍵をキャッチして車椅子をエレベーターへ向かって押していく。
「え、ちょ、桜和!?お金…!」
「払わせとけばいいよ」
「で、でも…」
エレベーターに乗り込んだところで桜和はやっと顔を見せた。
「……あいつのことは、考えないでよ」
悲しみ、不愉快、怒り、色んな物が入り交じった顔だった。
「俺、嫉妬でおかしくなっちゃう。神楽のこと、滅茶苦茶にしちゃう。傷付けちゃう。……神楽に、嫌われちゃう」
そう言って俺の手を握ってしゃがみ込んでしまった。
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