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日常かつ波乱の生徒会室
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「ねー神楽くんー遊びに行こー?」
「えっと…「帰れバカ兄ちゃん」…」
「何だよー桜和冷たい!」
「黙って?」
ガガガ、と音を立ててまた俺の座る椅子が和音さんから遠ざかる。長机の上の資料とパソコンを自分に合わせて引っ張って作業再開。もう何回目だこの作業。
和音さんが俺に近付いて何が一言でも言おうものなら俺は桜和によって少しずつ―5回に一回のペースで大きく―席をずらされていた。
いきなり、前触れといえば和音さんが話し掛けてくる一瞬だけのタイミングは中々掴めなくてたまにキーボードを押しっぱなしになっていつかの時みたいに画面が大変な事になる。
「兄弟で取り合いっていうのもいいと思うんだ!」
「神楽会長の前でそれ言って思いっきりはっ倒されてきてクダサイ」
「最近矜持くん私に冷たいって言うか、辛辣だよね…」
「最近マスちゃん自重しなくなりマシタよね」
もうなんでもいいからこの兄弟止めてくれないか。いや、和音さんが黙れば済む話なんだけど。
相変わらず桜和にはあまりよく似ていない笑顔でニコニコしている和音さん。次はいつ話しかけてくるかと身構えながら『っ』の嵐になっているパソコンのdeleteキーを押し続ける。毎回こんなことを繰り返すなんて堪ったもんじゃない。
「…和音さん」
「ん?なぁにー神楽くん?」
「か「帰れコール」」
「マジかー神楽くんに言われちゃったんなら仕方ない。今日はお暇するよ。またねー」
ひらひらと手を振ってドアの外へ消えていく和音さん。一方の俺の言葉を遮った桜和はと言えば、「二度と来んな」とこれまた憎悪に満ちた声と表情で舌打ちしながら扉を睨みつけていた。
…いつかコイツの目から殺人光線でも出てくる気がする。対和音さん専用のやつ。
「あー…今度から名指しで一人卒業生立ち入り禁止の校則作ろう。可決は在校生の3分の2…最悪改ざんしてしまえば…」
まてまてまてまてまてまてまてまてまてまてまてまてまてまてまてまて。
改ざんとか恐ろしいこと言ってるぞこいつ。和音さんの訪問は確かに生徒会の仕事に支障をきたしてはいるけどそこまでするか。
「…職員室行って北見先生にプリント渡してくる…」
「了解デス」
「いってらー」
「わかりました…」
「…くー……」
各々に返事をする中、いつの間にか寝ている月詠と、どうやって和音さんを追い出そうかと思案している桜和は全く無反応だった。
…職員室、目の前だし松葉杖はいいか。
「…桜和副会長に怒られマスよ」
クスクスと笑いながら佐神は手を振っていた。
…早く戻ろう。
そう、出来れば桜和が物思いに没頭している間に。
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