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「失礼しま―…」
「それじゃあ先生、ありがとうございました」
「会長をしてた時にそのくらい真面目だったら良かったのになぁ?」
「いやぁ、若気の至りですよ〜」
「…」
どうしよう。
出直していいやつだろうか。風見先生が取り込み中…なのと、その取り込みの相手…が、和音さん……一回出て帰るの待ってからでもいいだろうか。
「…ん?神楽くんじゃーん!」
「紫月?生徒会便り出来たのか?」
「ああ…はい……」
悩んでいるうちに見つかってしまい、仕方なく観念して北見先生のデスクに向かう。
「おー相変わらず見やすいなぁ…よし、これコピーして明日各クラスに配布するよ」
「はい」
失礼しました、と言って職員室を出る。すると、直後に和音さんも出てきた。
「神楽くん立派に生徒会長やってるんだねぇ」
「…まぁ」
クスクスと笑いながら和音さんが後ろ手に扉を閉める。
「神楽くん、桜和が生徒会入った理由、教えてあげようか」
「…?」
1年の頃、桜和はある日唐突に2年で副会長になりたいと言った。理由はよくわからなかったけど、応援すると言う言葉を返してその後その話は終わりだった。
「神楽くんの近くにいたいからだよ」
「…はい?」
「丁度夏休み頃、桜和ずっと上の空で、俺がちょっかいかけてもなーんもなかったの。心配になってどうしたのか訊いたら、一言『神楽』って。それって、かなりレアな状態でさ。今まで桜和の好きな子とかにちょっかいかけたりしたけど、こんなふうに必死になることもなかったし」
「…」
顔が熱くなる。
「そ、れって「いた」」
全部言い終わる前に、シトラスの香りが俺を包んだ。
その香りに、体温に、一気に心拍数が上がる。心臓が早鐘を撞く。
「お、桜和…」
「松葉杖置いて生徒会室でちゃうし」
「う…っ」
「兄ちゃんは要らないこと吹き込んでるし」
「桜和ばっかり神楽くんのことを知ってるのはフェアじゃないんじゃないかなーと思ってねー」
ヘラッとしながら手を振って職員玄関へ消えていく和音さん。桜和はチッと短く舌打ちをするだけだった。
「…生徒会室戻るよ。後でお説教ね」
「い、いや!近いし桜和考え事してたからいいかって「問答無用」」
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