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今更ながら
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最近ふと思ったことがある。
桜和におとしてみろ、なんて言ったけど、(そして既におちているけど、)終わりはどうやって訪れるんだろう。
ずっとおちてないフリをしていたら、いつか桜和が諦めて離れてしまう気がする。
そう考えると、えにもいわれぬ焦燥感が襲った。
いつまでも意地を張っていていいのか。
いつまでも逃げていていいのか。
いつまでも受身でいいのか。
いつまでも天邪鬼でいいのか。
解らなく、なって。
解らなくなりすぎて、選択肢がおかしくなった。
「ふぅん」
目の前にいるのは、頬杖をつきながらクルクルと指の間で器用にペンを弄ぶ嗣川。肘の下敷きになっているのは裏面再利用の生徒会便りだ。
麗美と迷ったが、麗美に相談となるとものすごいテンションで捲し立てそうだし、何より直接話せない。
嗣川も捲し立てると言う点では麗美と一緒だが、直接話せる分話を進めやすい。
「なるほどねー…そっか、そんなこと言ったんだ。だから桜和はいきなり猛アタックを始めたわけかぁ」
桜和に告白されて、今に至るまでの一部始終を話したところ、嗣川は思った以上に冷静だった。
「いや、そりゃあ普段そんな話されたらテンションマックスで 大騒ぎしたと思うよ?だけどね、流石に真剣に悩んでる相手にそんなことしないよ」
こういうところが、腐女子ということを公に明かしていても顔の広い理由なんだろう。
「ようするに、神楽はもう桜和に惚れちゃったってことでいいんだよね?」
「…そう、だ…」
「あっはは 神楽真っ赤〜こんな分かりやすい反応なのに桜和、本当に気付いてないわけ?」
指の間で踊らせていたペンを止め、俺の方へペン先を向けて今度は人差し指と中指の間でユラユラと緩く揺らした。
「…俺にあいつのことは解らないさ」
和音さんは、桜和のことをたくさん知っているんだろう。だって兄弟なんだし。小さい頃の桜和とか、家での桜和とか、桜和の趣味とか、俺の知らない桜和のことを和音さんは何でも知ってるんだ。
「…かぐ「やっと終わったー!もう、掃除当番とかホント勘弁だよ〜」」
嗣川が何か言いかけた瞬間、生徒会室のドアが勢い良く開いて桜和が入ってきた。
「わあああぁぁあああ!?」
「うわっ!?びっくりした、どうしたの神楽。俺まだ何もしてない…」
「このタイミングで入ってきたことが有罪」
「有罪!?罪なの!?真澄ちゃん酷すぎ!」
桜和のすることは、俺には予測不能だ。
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