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恋する神楽
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長方形の箱に張られたお湯の中でふわふわと浮力に身を預けながらブクブクと口から息を吐く。
膝を抱えて、ぽちゃんと髪から滴る雫を眺める。
『俺も好き』
はにかみながら桜和は俺を力いっぱい抱きしめた。
『好き。好き、大好き。愛してる…神楽、神楽』
恥ずかしくなるほど好きと愛してる、神楽を繰り返されて、顔から湯気を通り越して煙が出た。
潰されるんじゃないかって言うくらい強く抱きしめられて、背骨が悲鳴をあげていたけど、幸せだったから全然気にならなくて。
俺も負けじと桜和を強く抱きしめ返した。
思い出してまた恥ずかしくなって、とぷんっと顔をお湯の中に沈めた。
……両想い、で………付き合う…
口から二酸化炭素が抜けきって苦しくなっても、少しだけそのままでいた。
愛してもらえる。愛せる。
それが、とても嬉しくて。
親戚の中にも、俺のことを偏見の目で見る人はいるから。
俺が、堂々と愛せる相手ができたのが嬉しかった。
……顔が熱いのは湯船に浸かってるせいだけ、じゃない。たぶん。
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