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在りきたりの言葉が、
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次の日、土曜日に病院に行ったら、あの例のアッサリしている先生に「もう松葉杖もギプスも取っていいよー いやぁ、短期間で治ったから、あんまり左右で脚の筋肉に差もでなくて良かったねぇ」と言われた。
「ああ、でも神経痛とかあるかもしれないから、どうしても痛かったらおいでね」
何でも折れた時の骨の欠片が神経に刺さって痛みを引き起こすらしい。そのうち骨は溶けるけど、痛みは続くとか。
…嫌だなぁ、それ。
病院を出てスマホを見ると、LINEの通知が来ていた。
『脚、どう?』
桜和からだった。
短い文面だったけど、それが嬉しくて、思わず口元が緩む。表情筋が使い物にならなくなってきてる気がする。
『ギプスも松葉杖も取れた。やっと動きやすくなった』
返事をして、ポケットにスマホをしまうと、家路についた。
―月曜日の朝、校門前で桜和と会って、どちらからともなく微笑んで口を開いた。
「おはよう」
まさかあんな何千番煎じか分からない在りきたりなセリフから何千番煎じか分からない未来を迎えるとは、あの時の俺も桜和も、露ほども考えていなかった。
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