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我慢と欲
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「キスしたい」
生徒会室、いつも通り和音さんの来訪を警戒しながらゆるゆると生徒会の仕事を進めていると、唐突に桜和がなんの脈略もなく佐神も鵜野も嗣川も月詠もいる中、堂々とそう言った。
俺に向けて。
俺の目を見て。
俺の手を取って。
本当に、これが漫画なら背景に『ドン』っていうオノマトペがつくくらいの堂々たる態度で。
「………は………?」
惚ける俺の視界にひとりニヤニヤしてるやつが見える。おい嗣川。
佐神はさりげなく鵜野を連れてそっと生徒会室を出ていった。桜和止められるやつが居なくなるって俺はどうすればいいんだ。
月詠は例に漏れず―爆睡。お前がどうして生徒会に立候補して、どうして受かったのか俺は本気で知りたい。
意味のないことを考えていても、ほぼ無人に等しくなった生徒会室が特に何か変化するわけでもなく。
「は、ぇ、な………っ」
シドロモドロになるだけの俺。
「いーぶき!起きて!神楽と桜和の為に生徒会室出るよ!」
「んぇ…?ふわぁーぁ……俺眠い」
「図書室行こう?そこでならちょっとくらい寝ても平気だし」
気を使ったのかはよく分からないけど、嗣川は月詠を連れて生徒会室を出ていった。
無人。元より無人みたいなものだったけど、今度こそ本当の本当に無人。
大体どうしていきなり桜和はそんな突拍子もないことを言い出したんだ。
「…………俺が、今まで神楽に極力何もしないように我慢して努めてきたのは」
何もしないって言うのは違うと思うけど、確かに無理矢理なにかされた事はなかった……と思う。一回だけ机に押し倒されたけど。
「こうやって、付き合ってからそういうことしたかったから」
カタン、とパイプ椅子をずらして俺の近くに来た桜和は俺のネクタイとワイシャツを少しだけ寛げて首元にちゅ、ちゅ、と啄むようにキスを落とした。
「…っん」
首筋に当たる唇と顔をつつくサラサラの赤茶の髪が擽ったくて少しだけ身を捩ると、頭と胴体を抱き竦められて動けなくなってしまった。
「お、桜和…」
「んー…?」
「くす、ぐった…」
「…」
変な声が出そうなのを必死に堪えた訴えはスルーされた。
「お、か!」
桜和の唇が喉仏の上を滑る。ほんの一瞬だけ離れた唇は、だけどすぐに戻ってきて、喉仏に軽く噛み付いてきた。
「ひ、ゃ…っ」
本能的な恐怖と桜和の吐息や舌の熱さにゾクリと背筋が震える。
震える手で桜和の頭を押し返そうとするけど、力が入らなくて、仕返しとばかりに桜和の噛む力が強くなったのにまた背筋を震わせるだけに終わった。
「…神楽の首、すっごい好き」
熱の篭った声で、そう囁かれた。
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